最もオーソドックスなスポーツロレックスという印象のサブマリーナ16610。
デビューしたのは1989年ですが、2010年に116610LNが登場するまで20年近く現行モデルとして生産され続けた長寿モデルです。
そして、このモデルこそ1本目に買うロレックスとして選ばれたモデルでしょう。おそらく、それは90年代後半から始まったロレックスブームから、2009年頃の生産終了まで続いたことだと思います。
今ではサブマリーナという時計は新品で80万円以上は当たり前の高級モデル。116610LNは中古でも70万円以上するため、1本目に買う対象としてはハードルが高い存在かと思います。
しかし、5桁リファレンスの16610はかつて新品実勢価格が30万円台という水準であり、1本目に選ぶ存在としてハードルの低い価格に位置していました。
とはいえ、2007年頃には既に新品実勢価格が50万円以上という状況だったのですが、中古だと30万円台で買えるという現象は変わりませんでした。
現在の116610LNが中古でも70万円以上というということを考慮すると、いかに16610が身近な存在だったかが分かります。
そして2008年にリーマンショックが発生し、ロレックスの全体的な相場は安い水準へと下落。
特にコンビのサブマリーナは影響を受け、20万円台後半というそれまででは考えられない中古相場へとなったのです。
一方、この16610はコンビと同じ相場を維持。通常、コンビより10万円程度安値となってもおかしくなかったところ、同じ相場だったというのはあまり値下がりしなかったということでしょう。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2009年1月 の安値(ヤフオク) |
2017年6月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ロレックス
サブマリーナ (K番) 16610 |
中古 | 8年 5ヶ月 |
¥312,900 | ¥588,000 | 275,100 | 187.92% |
2009年頃において、コンビの16613と16610はほぼ同じ相場だったため、その際“お得”だったのは16613。
そして、16613は現在最も安いモノでも65万円以上と16610より10万円程度高い相場となっています。
そのため、投資対象としては16613を選んだ方が正解でした。
しかし、16610の値上り額も27万円以上という水準であり、現在の相場は2009年の倍というほどです。
数が多く、希少性が全くないといっても過言ではない16610がここまでの値上り額となったのはとても驚くべき現象です。
これはオメガのスピードマスタープロフェッショナル(3570.50)も同様ですが、象徴的なほど強い人気があるモデルは数が多くても値上がりする傾向にあるのです。
なお16610は、数が多いだけに程度の悪いものも存在し相場の見極めが難しい時計。
程度が良くても90年代前半に製造された前期モデルは安めだったりするため、今回は後期モデルに分類されるY番同士で比較しています。