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現在相場考察

売られていることが珍しい、パテックフィリップノーチラス5800/1A

2017年6月10日更新
パテックフィリップのノーチラス5800/1A-001について斉藤由貴生が執筆。本記事では2011年夏頃の安値(タイムトンネル)と2017年6月の安値(楽天)を比較し現在相場を考察。このでの変動は¥2,898,600だった。

ノーチラス 5800/1A-001についての考察(2017年6月)

パテックフィリップノーチラスといえばシンプルなラインナップであり、その全体像を把握するのは容易であるという印象があります。

しかし、2005年前後のノーチラスには見逃しがちなレアモデルが存在

その時期は、ちょうどノーチラスのモデルチェンジと重なったため、レアな要素を含みさらに個体数が少ないというレアにレアを重ねたモデルが3つあるのです。

3711/1G

1つは2004年に登場した3711/1G

このモデル、今現在においてパッと見た感じどこがレアなのかわかりませんが、実はこれホワイトゴールド製。

2006年より青文字盤+ジャンボサイズの5711/1Aが通常モデルとなっているため、「青文字盤+ジャンボ」ということに、現在では特別レアさを感じることはありません。

ただ、2004年時点では「青文字盤+ジャンボ」サイズというのは久しぶりに登場したモデルでした。

そのため、この3711/1Gは、

  • ノーチラス初の裏スケ
  • ホワイトゴールド製
  • 復活した青文字盤+ジャンボ

という3つの強い要素が含まれているのです。

近年、プラチナ製の5711/1Pが登場したといえど、3711/1Gが希少なことに変わりはありません。

3712/1A

2つ目は2005年に登場した3712/1A

このモデル、現在も現行モデルとしてよく見かける5712/1Aとかなり似ているため、違いが感じられないモデルなのですが、5712/1Aより200万円ほど高い水準です。

なぜそこまで評価されるかというと、デビューした2005年の翌年2006年に5712が登場したことにより、生産された期間がたった1年ということが大きいでしょう。

とはいえ、単に生産期間が短いだけではここまで評価されることはなく、このモデルには生産期間の短さ以外にも強い魅力が存在します。

そして、その強い魅力こそ「2ピース構造」という点。

ノーチラスはデビューしたときより「2ピース構造」を売りとしていましたが、2006年の世代交代時期より3ピース構造に変化。

また、2ピース構造時代のノーチラスは竜頭がプッシュ式で120m防水を実現していましたが、3ピース時代のノーチラスは一般的なねじ込み式竜頭です。

しかも、このモデルはノーチラス初のプチコンモデル。

今では年次カレンダークロノグラフなど3針以外のノーチラスのラインナップがありますが、1970年代に登場してから2005年までノーチラスには複雑機構モデルが用意されていなかったのです。

よってこの3712/1Aは、

  • ノーチラス初のプチコンモデル
  • 2ピース構造で裏スケ
  • 生産期間が約1年

というレアな点によりほぼ同じ5712より200万円ほど高い評価を受けているのです。

5800/1A

そして3つ目のレアモデルがこの5800/1A

このモデル、パッと見た感じは普通のノーチラスにしか見えませんが、いったいどこがレアなのでしょうか。

(現在参考の腕時計がありません)

本記事の価格比較

腕時計 状態 期間 2011年夏頃の安値(タイムトンネル) 2017年6月
の安値(楽天)
変動額 残価率
パテックフィリップ
ノーチラス
5800/1A-001
中古 6 ¥1,399,800 ¥4,298,400 2,898,600 307.07%

それは、この5800/1A2ピース構造で裏スケという点です。

この5800/1A3800/1Aの後継として2006年にデビュー。

同時にデビューした5711/1Aは今でも現行モデルかつ、最近中古でも400万円近い相場という大人気モデル。

そしてその大人気モデルよりさらに高い5800/1Aは、そもそも売られているのを見かけることが珍しいというほどかなりレアなモデルなのです。

5711/1Aがジャンボサイズなのに対して、この5800/1Aはミディアムサイズ。

アクアノートでいうミディアムサイズに相当する5800/1Aは通常であれば、ここまでレアモデルはならなかったでしょう。

しかし、ノーチラスの伝統的な「2ピース構造」が採用され、さらに裏スケであるという点が強さを生み出しています。

そのため、ここまでの高値でも欲しいと思わせてくれる1本。

パテックフィリップのムーブメントは美しく、長年裏スケ化を望むファンが多かったことでしょう。

ただ、裏スケ化されたノーチラスは「2ピース構造」という伝統を失ってしまったという点も存在します。

ですから、

  • 裏スケ
  • 2ピース構造

という点を備えるこの5800/1Aはかなりツボ刺激するモデルなのです。

なお、「2ピース構造+裏スケ」という仕様は先程の3712とこの5800しかありません。

そして、シンプルな3針というもう一つのノーチラスの伝統を有するこの5800/1Aこそ、世界中のノーチラスファンのツボを刺激するモデル。

それだけ強い要素があるのにもかかわらず、売っているのを見かけるほどレアというこの5800/1Aですが、久々に売り出されたのを発見してとても「珍しいモノを発見できた」と嬉しい気持ちにさせてくれた1本です。

この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
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