カルティエの防水腕時計として強い存在感を放っていたパシャですが、男性用モデルについては残念なことに生産終了状態となっています。
「パシャ皇帝がプールでも使える時計を作って欲しい」とカルティエに頼んだことがきっかけでパシャという腕時計が誕生したということは有名。そのため、パシャという腕時計は古くから続く長寿コレクションなのかと思ってしまいますが、意外にも誕生したのは1985年とそこまで古くありません。
その際デザインを手掛けたと言われているのはノーチラスで有名なジェラルドジェンタ氏で、よく目にするパシャの原型はジェンタ氏のデザインによるものといって良いでしょう。
1985年に登場したパシャは、パシャ38mmとほぼ同じものですが、人気のある裏スケ仕様のパシャ38mmが登場したのは90年代後半です。
また、95年にはそれまでのパシャをカジュアル化したパシャCが登場。
そして90年代後半に始まった腕時計ブームの際に現行モデルだったのがパシャ38mmとパシャCです。
その頃パシャという腕時計は基本的に「男性用」として取り扱われており、ロレックスと比較する人も珍しくないほどメジャーなモデルでした。
しかし、その後パシャCは女性用という認識となり、それは今にも続きます。
では、なぜパシャC=女性用という認識になってしまったのか。
そのきっかけこそ、このパシャシータイマーの登場です。
それまでパシャは、
- 高級=パシャ38mm
フレデリックピゲベースなど
- カジュアル=パシャC(35mm)
ETAベース
という分けれられ方がなされていましたが、
2006年にパシャシータイマーが登場したときから、
- 高級=パシャ42mm
ジャガールクルトベース
- カジュアル=パシャシータイマー(40mm)
ETAベース
- カジュアル=パシャC(35mm)
ETAベース
となったのです。
パシャ38mmが生産終了となり42mmへと世代交代したこととは異なり、パシャCが生産終了することはありませんでした。
そのため、2006年以降のカジュアルなパシャにはパシャシータイマーとパシャCの2つが存在。
その後、完全女性用のミスパシャが登場したことにより、パシャのラインナップは4つまで増えることとなったのです。
その結果、パシャ42mmとパシャシータイマーが男性用、パシャCとミスパシャが女性用という認識をされるようになったのです。
そして今となっては、パシャというシリーズ自体が女性用というイメージが強く、本来男性用であるパシャ42mmでさえも女性用扱いされることがある始末。
その分かりづらさのせいかパシャ自体の需要が減りつつあり、ロレックスが全体的に安かった2012年と比較しても値下がり状態なのです。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2012年1月 の安値(ヤフオク) |
2017年6月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
カルティエ
パシャシータイマー W31077U2 |
中古 | 5年 5ヶ月 |
¥312,900 | ¥239,760 | -73,140 | 76.63% |
パシャシータイマーが登場したのは2006年ですから、腕時計としてはかなり新しい部類に入ります。
実際、今大人気のパテックフィリップノーチラス5711/1Aは2006年、6桁リファレンスのGMTマスター2は2007年の登場です。
よって、年式的には今でも現行モデルとして十分通用するパシャシータイマーなのですが、既に生産終了されています。
また、20万円台前半で買えるため、現在の水準ではかなり安めの時計という認識ですが、定価は70万円以上です。
今ではロレックスより遥かに安いと感じてしまうこのパシャシータイマーですが、2007年頃においてサブマリーナと本気で比べるとということも珍しくないぐらいの存在。
2010年頃、既に25万円程度まで下落しましたが、その際ロレックスも安かったため、特別この時計だけが安くなったわけではありませんでした。
パシャシータイマーは2012年に一旦高くなったののの、その後は今のように20万円前半という相場となっています。
パシャシータイマーが安くなったのは、先のようにパシャシリーズ自体が女性用というイメージとなってしまったという点がありますが、それ以外にもパシャシリーズ自体のラインナップが分かりづらくなったからという点もあるでしょう。
回転ベゼルを備えるパシャは従来高級な方(=パシャ38mm)に対する用意だったのが、2006年より高級なパシャ42mmが非回転ベゼル、パシャシータイマーが回転ベゼルと逆転します。
そしてラインナップが分かりづらくなった後に、パシャのラインナップはミスパシャのみとなり、女性用シリーズへとなってしまったのです。
2005年頃におけるパシャシリーズのテコ入れは、ユーザーへは受け入れられなかった結果となった模様です。