ジャガールクルトは、他の名門ブランドに多々採用されるムーブメントを製造するマニュファクチュールですが、その高い技術力に加えて、様々な仕掛けをもったムーブメントを製造しているという特徴もあります。
例えば、レベルソメモリーのような、“59分間まで1分単位で計測する”という仕掛けは他の腕時計で見たことがありません。
そして、このマスターレヴェイユのようなアラーム機能も、腕時計全体としては少なめという印象です。
アラーム機能を備える時計として、そこそこ知名度があるのは、パネライのラジオミールPAM00098やアランシルベスタインですが、それらにはLJP5900というムーブメントが搭載。
また、パネライがPAM00098以前に限定モデルとして出したPAM00046はWG仕様の豪華モデルでしたが、ジラールペルゴ製のアラームムーブメントを搭載しています。
アラーム機能の腕時計は、そのプチコン的要素が魅力的。
しかし、画像ではどれも同じアラーム機能に見えても、その音色は異なります。
このマスターレヴェイユは、その中でも特に音色がきれいであり、さすがジャガールクルトと思わせられる1本です。
そしてそのような魅力的なモデルが2012年には約35万円という相場。
その頃、PAM00098は50万円以上と高い水準であったため、このレヴェイユがいかに安く売られていたかが分かります。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2012年9月 の安値(ヤフオク) |
2017年6月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ジャガールクルト
マスターレヴェイユ 141.8.97 |
中古 | 4年 9ヶ月 |
¥351,000 | ¥579,300 | 228,300 | 165.04% |
そのため、この時計が2012年と比較して20万円以上高くなったというのは、かなり理解できる現象です。
ただしこのマスターレヴェイユには分かりづらい要素があり、それはこれと似たメモボックスという存在があるという点。
このマスターレヴェイユは90年代から2005年頃まで生産されたモデルですが、同時期にはメモボックスも売られています。
その頃において、“レヴェイユはデイトあり、メモボックスはデイト無し”という棲み分けがあったのですが、一旦生産終了された後、デイト表示ありのメモボックスのみ復活しています。
そのため、現行モデルだけ見ると、レヴェイユというモデルがどのような位置づけなのか分かりづらく、見つけてもらいづらい傾向。しかし、それでもきちんと値上がりしたのは凄いといえるでしょう。
二つある竜頭のうち、上がアラーム設定用となっており、アラームのためにネジを巻く仕掛けは他社のムーブメントと同様。
ただこのレヴェイユは、アラーム用の針が動くのではなく、中央部分の文字盤が動くという仕掛けとなっており、よりプチコン的な印象があるモデルとなっています。