ダイバーズウォッチやミリタリーウォッチなど、ストーリー性のあるモデルは人気となる傾向があります。
それら要素は1つのモデル対して複数適応できる場合もあり、サブマリーナ5517やパネライなどは高い防水機能を有するダイバーズウォッチでありながら、軍に採用された経緯をもつミリタリーウォッチでもあります。
このようにキャラクター性が強いモデルのカテゴリの中には、パイロットウォッチという存在もあり、なかなか知名度の高いモデルであることは確か。
しかし、パイロットウォッチと呼ばれるものは、GMT機能を有するモデルを指すわけではなく、クロノグラフの形状をしていることが多い傾向です。
そのことから、「なにをもってパイロットウォッチなのか」ということが分かりづらいのですが、GMT機能がジャンボジェットの操縦士向けであるならば、パイロットウォッチと呼ばれるものは戦闘機の操縦士用という棲み分けになるでしょう。
パイロットウォッチとして名高いのは、IWCとブライトリングなのですが、これら両者はラインナップが多めで、その全体像を掴みづらいという共通があります。
そのため、ブランド自体の知名度も高く、パイロットウォッチという特徴もあるにもかかわらず、“高くなることもなく安くなることもない”という存在。
このメカニカルフリーガークロノグラフは、2009年と2017年の相場を比較した場合、たった3万円程度しか相場が変わっていません。
しかし、不人気というわけではなく、このぐらいの価格帯だとすぐに売れてしまっている様子です。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2009年6月 の安値(ヤフオク) |
2017年6月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
IWC
メカニカルフリーガー クロノグラフ IW370607 |
中古 | 8年 0ヶ月 |
¥250,000 | ¥280,800 | 30,800 | 112.32% |
このメカニカルフリーガーは、90年代後半から2000年代にかけて製造されたモデルで、5桁リファレンスのロレックスに相当する時代のモデル。
この年代のモデルは全体的に評価が高い傾向で、この時計も魅力的な要素が多い1本といえるでしょう。
2009年の相場や現在相場が20万円台であるという印象から、定価が高そうには感じませんが、実は60万円以上という定価で、一時の実勢価格もそれに近い水準でした。
ですから、2009年の時点ではかなり値下がり状態となっていたわけですが、人気があるにもかかわらずそこから今にかけて値上がりしていないという状態です。
IWCというブランドはその輪郭が分かりづらく、ロレックス以上と扱われる時代もあった一方、今の相場を見るとオメガ並とも感じます。
マニュファクチュールではないものの、このメカニカルフリーガーのムーブメントはベースのバルジュー7750をかなり改良。
また、耐磁性能を売りにした時計ではないものの、インナーケースでムーブメントが覆われた仕様となっています。
これは、磁気を発生させる装置が多い航空機の操縦室で使われることを想定したパイロットウォッチならではの仕掛けとして、ツボな要素だと感じます。
人気要素が多々あり、キャラクター性もはっきりしているこの時計、2009年と同じ水準で手に入るというのはなかなか魅力的だと思います。