ロレックスブームだった2000年頃、ドンキホーテの各店舗には高級腕時計がずらりと並べられており、今より実物を見る体験が簡単だったように思います。
そして、そのショーケースを眺めていると、なんとなく“どの腕時計がいくらぐらいなのか”という相場観が身についてきて、オメガの通常モデルは10万円台、スピードマスターのムーンウォッチは20万台、スポーツロレックスは30万円台ということが分かります。
このスピードマスタートリプルカレンダーは、10万円台で買えるオメガの中で、最も複雑なモデルだったのにもかかわらず、これよりシンプルなデイトと1万円ほどしか実勢価格が変わりませんでした。
曜日と月を示す小窓と、日付を針で示す機構が「なんとも高そう」と思わせたにもかかわらず、プライスタグを確認すると、¥158000などという表記が存在。
デイトとトリプルカレンダーの価格差が1万円程度となると、その選択は好みの問題となるだけでなく、たまたま在庫があった方を選ぶというようにもなりそうです。
デイトにもトリプルカレンダーにも銀文字盤や青文字盤などがありますが、仮にデイトの在庫が銀文字盤、トリプルカレンダーが青文字盤だった場合、青文字盤を選んだらたまたまトリプルカレンダーだったということもあったでしょう。
トリプルカレンダーはとても魅力的な時計ですが、その複雑そうな見た目から壊れやすそうにも見えます。
しかし、さすがはオメガ。酷使してもあまり壊れたという噂はききません。
ベースムーブメントはバルジュー7750ですし、カレンダー機構もコンプリケーション的な仕掛けがあるわけではなく手動で動かす仕様ですから、確かに頑丈な印象です。
そして、毎日使える実用性の高さと、もとから安めだった実勢価格の影響により、現在では10万円を切る価格でも売られているこの3523.80。
とはいえ、その価格帯で売られているものは程度の悪いモノがほとんどです。
では、程度の良いモノはいくらぐらいなのかというと、15万円前後といった水準です。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2014年2月 の安値(ヤフオク) |
2017年7月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
オメガ
スピードマスター トリプルカレンダー 3523.80 |
中古 | 3年 5ヶ月 |
¥178,000 | ¥147,800 | -30,200 | 83.03% |
この時計、デビューしたのは90年代で生産終了は2007年頃と、ロレックスの5桁リファレンスと同じ世代。
2007年頃まで新品で売られていたにもかかわらず、程度の良いものが少ない傾向ですが、これはこの時計が「使用頻度高めで愛用されていた」ということを示すことだと思います。
ブルガリアルミニウムも程度の悪いモノが多い傾向ですが、アルミニウムは構造的に痛みやすいという事情。
一方このスピードマスターは、ステンレスケースにブレスというオーソドックスな内容ですから、アルミニウムのように痛みやすい構造ではありません。
高級腕時計の場合、極端に程度が悪いものは少ないという傾向があります。
しかし、このスピードマスタートリプルカレンダーもアルミニウムのように、程度の悪い個体多めという傾向のモデルも存在するのです。
程度が悪くなる事情はスピードマスターとアルミニウムでは異なりますが、両者とも各々の時計の状態を考慮せずに相場を見ると、一見安く感じるため、要注意なモデルです。