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現在相場考察

程度の良い3針、カルティエパシャ38mm

2017年7月7日更新
カルティエのパシャ38mmW31035T6について斉藤由貴生が執筆。本記事では2014年5月の安値(ヤフオク)と2017年7月の安値(楽天)を比較し現在相場を考察。この3年2ヶ月での変動は¥-25,000だった。

パシャ38mm W31035T6についての考察(2017年7月)

パシャCと比べると認知度は低いものの、パシャ38mmに対するファンは多いようで、最近良いモノがあるとすぐに売れてしまう傾向です。

特に、3針モデルの程度の良いモノは売り出されている個体がないという状況。

パシャ38mmには痛みやすい箇所が多々あり、特に文字盤がダメージを受けている個体が多い傾向で、特に最近程度の良いものが減りつつあるのです。

売り出されているモノを見ると、文字盤の一部にカビが発生していたり、ムーブメントから染みたと見られる油が文字盤中央を黒く変色させていたりと、そのダメージは多岐にわたります。

つまり、このパシャ38mmという時計はオメガロレックスのような感覚で、毎日使うようなタフ用途には適していないのです。

ただ、この時計が現行モデルだったころ、まさに第一次腕時計ブーム真っ只中。その頃、カルティエは主力4ブランドとしてロレックスと積極的に比較される対象だったため、パシャ38mmを1本目の時計として買ってしまった方もいるのでしょう。

その結果、パシャ38mmの流通量は一定数あるものの、程度の良いモノを探すのは困難な傾向

当時の実勢価格が頭一つ高かったクロノグラフについては、程度の良い個体が多い模様ですが、3針モデルとなると程度が良い個体が少ないのです。

フレデリックピゲ製ムーブメントのクロノグラフに対して、ジラールペルゴ製である3針モデルは、少し人気要素に劣る気もします。

とはいえそれは、以前も紹介したようにオーバーシーズと同じであり、高級モデルの構成として適正なのです。また、このジラールペルゴ製の薄型ムーブメントには一定の評価もあり、決して不人気要素ではありません。

そして、最近パシャ38mmにちょっとした異変が起きている模様です。

これまで常に人気があったのはクロノグラフで、その次にグリッド付きの3針という傾向。それに対して、最もシンプルな3針モデルはそんなに目立たない印象で、特に人気という印象がなかったのです。

しかし、最近3針モデルの程度が良いものは全て売り切れてしまっているほど、密かな人気があるという感じであり、意外にも希少モデルになりつつあるのです。

そんな、パシャ38mm3針モデルの中でも、かなり程度が良い個体が目立つものがあります。

それが、このコンビモデルです。

カルティエ パシャ パシャ38mm W31035T6¥539,998〜¥578,000(2024年11月20日現在)

本記事の価格比較

腕時計 状態 期間 2014年5月
の安値(ヤフオク)
2017年7月
の安値(楽天)
変動額 残価率
カルティエ
パシャ38mm
W31035T6
中古 3年
2ヶ月
¥351,000 ¥326,000 -25,000 92.88%

コンビのパシャ38mmは比較的程度が良い個体が多い模様で、2014年に売り出された個体も、良い状態です。

中古相場ではコンビとステンレスの差はあまり無いものの、カルティエの場合、新品となると並行品でもコンビとステンレスの差がある傾向でした。

というより、2000年代前半において、並行品のカルティエはほぼステンレスだったため、コンビを入手するのは金銭面だけでなく、探さなければならないというハードルもあったのです。

さらに、このギョーシェ文字盤+裏スケ仕様の世代になってから、コンビモデルはブレスレットまでコンビ仕様となったため、それまでのコンビパワリザなどより高くなったという事情もあります。

つまり、

  • 当時の入手価格が高かった
  • あまり売られていなかったため入手のハードルが高かった
  • というマニアックさにより、大切にされた個体が多いのでしょう。

    最近の相場では、ステンレスの程度の良いモノは25万円前後といったところで、たまに21万円程度で程度の良い売られますが、気づいたときには売れているというほど即売れてしまう傾向です。

    そしてこのコンビは、ステンレスの程度の良いモノよりさらに程度が良いというモノながら、5万円から10万円高いという水準で買えるのです。

    同じ値段でステンレスのクロノグラフが買えるため、どちらにするかは悩ましいところですが、より希少性が高いのはこの3針コンビのほうでしょう。

    このような時計を購入する場合、値下がりは覚悟の上ということになりそうですが、2014年の相場と比較して意外にもほぼ価格が変わっていないのは嬉しいポイント。

    ただ、使用して程度が悪くなってしまった場合、当然ですが価値は下がる可能性が高いでしょう。

    そのため、魅力的な腕時計ですが、扱いは難しい1本だと感じます。

    複数本所有している人が、1、2週間に1回ぐらいの頻度で使うのが理想的だと思います。

    この記事の執筆者
    斉藤由貴生
    腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
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