ブランパンの中でもフィフティファゾムなどスポーツ系のモデルは比較的“分かりやすい”時計です。
「分かりやすい」とは、ラインナップの全体像、その時計自体のキャラクターが分かりやすいという意味であり、分かりやすい時計のほうがより人気が高まりやすい傾向があります。
このヴェルレウルトラスリムという時計は、非常に分かりづらい時計なため、本来高級な時計でありながら、中古価格となるとだいぶ安く買える存在です。
ヴェルレウルトラスリムという時計のイエローゴールドモデルにはいくつもの種類が存在し、そのいずれもがいつ頃売られていたモデルなのか不明というほど分かりづらい傾向。
そのため、この時計の相場を知ろうとしてもその難易度は高く、いったいいくらほどの価格がこの時計の適正価格なのかを見極めるのは困難です。
そして今回、努力して同じ個体を比較した結果、過去相場と比べて14万円程度値上がりしていることがわかりました。
しかしこの比較を持ってみても、この時計の適正価格はまだぼやけている気がします。
というのも、本来この金無垢のブランパンはもっと高くても良い気がするからです。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2009年7月 の安値(ヤフオク) |
2017年7月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ブランパン
ヴェルレ ウルトラスリム |
中古 | 8年 0ヶ月 |
¥275,000 | ¥418,000 | 143,000 | 152.00% |
現在、新品で売られているヴェルレウルトラスリムの定価は約200万円ほど。
この時計のキャラクターからして、百貨店の外商に勧められたから購入したという方が多そうだと推測できますが、その理由として大きいのは、この分かりづらさこそ外商経由で購入される商品の特徴だからです。
というのも、外商的な購買行動で時計を買おうと思ったときに、勧める側も進められる側も「よくわからないけど、なんとなく良いもの」を求める傾向があり、所謂「分かりやすいモノ」とは対極にある「上質なモノ」を欲するのです。
それは世間一般的に、特に若い人の憧れとなっているモノの対極です。
例えば、世間一般な憧れがランボルギーニとウブロの組み合わせであるならば、ヴェルレに合わさるクルマはトヨタのプログレといったところでしょう。
ヴェルレとプログレの組み合わせは、インパクトが弱いため「金持ち特集」のテレビ番組や雑誌の企画では不可能。そのため、世の中には伝わらず、一般的には理解不能な選択肢となるのです。
しかし、この組み合わせこそ、上質なモノを好むお金持ちの姿として象徴的なモノといえるでしょう。
そして、この誰からも憧れられない“お金持ち”の選択は、需要がないため、中古ではかなり安くお得に買える存在です。
それは、トヨタプログレの中古車情報を見ても分かる通り、低走行の程度の良い個体が昔から安く売られています。
しかし、プログレは不人気なクルマですが、乗ってみるとかなり上質感のある良いクルマ。
そして、このブランパンヴェルレは本来200万円というような額で買われている時計でありながら、41万8000円で楽しむことができるのです。
分かりづらい時計であるため、今後の値上がりは期待しないほうがよいでしょう。
けれども、本来かなり高級な世界にいる上質な時計を安く気軽に買うことができるというのは、この時計の大きな魅力の1つであるのです。