パテックフィリップの基本形モデルであるカラトラバには様々な種類がありますが、その中で最も基本となるのが「96」です。
96は戦前からラインナップされるモデルですが、1980年代に3796にモデルチェンジされ、その後2004年に5196にモデルチェンジされました。
96の特徴として手巻きムーブメント+スモールセコンドという、シンプルな内容という特徴があります。
3針+自動巻という時計は見慣れていますが、実は3針自動巻は手巻き+スモセコより複雑。
シンプルな順に左から、
となるのですが、この中で最も複雑な自動巻+3針(センターセコンド)という内容は、安価な時計でも特に区別されること無くラインナップされているため、高級感を感じづらい存在です。
この5296は、リファレンスに「96」が付くことから、5196の豪華版とともいえる存在ですが、歴代の96とは似つかない見た目から、事実上別扱いされる存在でした。
デビューしたのは2005年なのですが、カラトラバのラインナップが多いこともあり、そこまで注目されないモデルという印象があります。
そして、2年後の2007年には「5296-010」が登場し、文字盤と針のデザインが「96」シリーズを思わせるものへ変更。
このように分かりづらい要素があるモデルの場合、あまり値上がりしないという傾向があり、さらにこの5296-001は独特なデザインであることから、より値上がりしづらそうな存在でもあります。
しかし、さすがはパテックフィリップ。
凄い値上がりとなっていると同時に、現在の相場は2005年の定価より高いという状況です。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2008年5月 の安値(ヤフオク) |
2017年8月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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パテックフィリップ
カラトラバ 5296G-001 |
中古 | 9年 3ヶ月 |
¥1,302,000 | ¥1,941,840 | 639,840 | 149.14% |
5296-001にはカラトラバとして珍しいデザイン要素が多々あり、リーフ針であるという点やさらにそれがブルースチール針ということ。また、シンプルな文字盤が多いパテックフィリップとしては、かつて無いほど目盛りが多く煩瑣なデザインであり、5から60までの秒数が表記されているというのも珍しいポイントです。
ただし、この「001」のデザインは、実は後期の「010」より高いわけではなく、むしろ安いのです。
ではなぜ値上がりとなったのかというと、文字盤デザインに関係なく自動巻カラトラバがこの10年ほど全体的に評価されているということに影響されたという説明が最もなものとなるでしょう。