カルティエは世界で初めてに腕時計を作ったとされるブランドですが、宝飾時計というイメージからか男性用より女性用が強いという傾向があります。
カルティエ自身もそのことを知っていた模様で、2000年代前半には「男性用強化」の方針を打ち出していました。
そして、2002年に「男性用」ということを強調した2つのモデルがデビュー。
それら2モデルはともに「クルマ」に関連づいたイメージが提供されていました。
1つはロードスターであり、男性用のみというラインナップでデビュー。ワンタッチで行えるベルトの脱着機能を特徴としており、ブレスレットと革ベルトが気分によって付け替え可能という内容です。
もう1つはタンクディヴァンというモデル。ディヴァンは横長ケースという珍しいデザインなのですが、このコンセプトこそドライバーズウォッチ。ハンドルを握った状態で見やすくするために、横長ケースとなっているのです。
ロードスターは、ロレックスのライバルとしてマス向けを狙ったのに対し、タンクディヴァンはパネライラジオミールのようなポジションを狙った印象です。
タンクディヴァンは、他ではあまり見ない“横長ケース”という独特さと、タンクの伝統的なデザインが融合し、とても魅力的なモデル。
2000年代においては一定の人気があり、2007年における新品実勢価格は約45万円という水準でした。
しかし、生産終了となってからはあまり注目されること無く、値下がり傾向の時計です。
2008年頃からは中古が10万円台という額にまで下落。
タンクディヴァンには、LMサイズの他にMMサイズなど多彩なサイズがあることや、LMサイズでも自動巻とクオーツがラインナップされています。そのため、LM自動巻の相場を見つける必要があります。
ただ、タンクディヴァンの場合、LM自動巻が飛び抜けて高いということはありません。他のモデルでは、LM自動巻だけ高いということもあり、例えばサントスガルベなどはXLが特に高い相場となっています。
ではなぜ、タンクディヴァンがLM自動巻でも安めなのかというと、1つは女性用として認識されてしまっていること。もう1つは程度の悪いモノが多いという点です。
このモデル、2本目の時計というようなキャラクターであるため、本来は使用頻度が低くあまり程度が悪くならなさそうなモデル。
なのに程度が悪いモノが多いというのは、意外な現象です。
程度の悪いモノが10万円台である一方、程度の良いモノはそれより高い相場となっています。
ですからこの時計、ブルガリアルミニウムのように、程度によって相場が違うため、よく見る必要があるのです。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2015年6月 の安値(ヤフオク) |
2017年8月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
カルティエ
タンクディヴァン W6300755 |
中古 | 2年 2ヶ月 |
¥257,450 | ¥258,000 | 550 | 100.21% |
程度の良いモノでもLM自動巻なのにピンク色の革ベルトに付け替えられているモノがあるなど、女性が使っていたと推測できる個体が多い特徴があります。
ですから、タンクディヴァンは男性用を意識したモデルながら、実際には女性が主なユーザーだったのです。
これは、ロードスターにもいえることで、当初は男性用としてデビューしたのに途中から女性用も追加されています。
とはいえ、標準装備の黒の革ベルトを着けると、やはりその印象は男性用であり、2本目としてとても魅力的。
さらに、生産終了されて年数がそこそこ経った今、この『横長ケース+伝統的なデザインの融合』という特徴がより一層魅力を増していると感じます。