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現在相場考察

最近見かけない黒文字盤、パテックフィリップ5055G-001

2017年9月3日更新
パテックフィリップのについて斉藤由貴生が執筆。本記事では2010年6月の安値(ヤフオク)と2017年9月の安値(楽天)を比較し現在相場を考察。この7年3ヶ月での変動は¥528,000だった。

コンプリケーション 黒文字盤 5055G-001についての考察(2017年9月)

90年代後半から2000年代中盤頃まで生産されたコンプリケーションモデル、5055。

パワーリザーブインジケーターとムーンフェイズ左右非対称デザインといえば、今ではノーチラスのイメージが強いですが、5055の時代にはノーチラスへ複雑機構が搭載されることはありませんでした。

5055はパテックフィリップとしては珍しいモダンなデザインが採用されていますが、これと兄弟的なモデルである5054は反対にクラシカルなモデルとなっています。また、ブレスレットタイプの5085もありますが、5085にはステンレスモデルが存在し、それは当時のコンプリケーションとしては唯一といってほど珍しい存在です。

これら3つのモデルにおいて、最も人気が高いのは5054。また、5085/1Aについては、ブレスレット+ステンレスという強い特徴があるため、特に最近人気という様子。

一方5055については、いつの時代も誰からも注目されず、特に人気という状況ではありません。

それが影響してか流通する数はかなり少なく、特に色を選ぼうと思ったら「いつでも入手できる」という状態ではありません。

特に最近少ないのが5055Gの黒文字盤なのですが、久しぶりに1本売りに出ているのを発見。

5055Gは5055の中で唯一“前期(5055G-001)”と“後期(5055G-010)”があるモデル。黒文字盤がラインナップされたのは2003年頃までそれ以降は白文字盤に変更となっています。

かつて黒文字盤はそれほど珍しい存在ではなく、中古150万円以下、新品実勢価格が160万円程度という水準でした。

それが、2005年頃から徐々に値上がりしたと同時に数が少なくなっていったのです。

そして、リーマンショック時でもそこまで値下がりすることなく、2000年代前半の新品実勢価格と同等という額を維持。

黒文字盤の5055は先のように2003年頃で生産終了となっているため、新品で買った人は、10年前から値上がり状態が続いていることになります。

(現在参考の腕時計がありません)

本記事の価格比較

腕時計 状態 期間 2010年6月
の安値(ヤフオク)
2017年9月
の安値(楽天)
変動額 残価率
パテックフィリップ
コンプリケーション
黒文字盤
5055G-001
中古 7年
3ヶ月
¥1,650,000 ¥2,178,000 528,000 132.00%

そして今回、久しぶりに登場した5055G-001はなかなかの値上がり額のように見えます。

しかし、現状価格を他のモデルと比べるとコンプリケーションパテックフィリップとしてはかなり安いほうで、あまり評価されていない傾向だと感じます。

5055は地味なモデルとして今でもあまり評価されていない結果、現在ステンレスのアクアノートと同水準という相場なのでしょう。

リーマンショック後にアクアノートは値下がりしたため、その頃のアクアノートと相対的に比べると今の価格は安いと感じます。また、2003年頃までアクアノートは100万円を切る価格で購入可能だったため、やはり現在アクアノートとほぼ同等というのはお買い得に思います。

この5055Gは、相対的に安いというだけでなく、パテックフィリップとしてはあまりないデザインという希少性、さらにそのデザインが魅力的という良い要素を含んだモデル

良い要素があり、数がかなり少ない。それなのに安いのは、5055というモデルを認識している人が少ないからでしょう。

この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
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