今回の記事では、過去の値下がり事例について、2017年におけるパネライPAM00050の様子からお伝えします。
PAM00050は1999年に登場したモデルなのですが、
という要素を初めて備えたモデルとしてデビューしました。
ちなみに、白文字盤の51番や、クロノグラフの52番も同時にデビューしたため、これら全てが「初の40mmブレスレットモデル」となります。
今となっては、40mmモデルもブレスレットモデルもラインナップが少ないため、PAM00050というモデルを知っているという方は少ないかもしれません。
しかし、このモデルこそパネライブームのきっかけを作ったモデルといっても過言ではなく、おそらくパネライとしては初めて現行品としてプレミア価格になったモデルです。
本格的なパネライブームとなった2002年頃まで、パネライへの注目度はそこまで高いとはいえず、特に手巻きの44mmは安く売られていました。
その時代の手巻き44mmの新品価格は25万円程度であり、ある種の変わり種時計として扱われていたように感じます。
その一方でPAM00050は2001年の段階から40万円台という水準であり、当時の人気ロレックスより高い水準だったのです。
そして、このPAM00050だけは「変わり種」という扱いではなく、ロレックスに慣れてしまった人が新鮮に感じるというようなキャラクターを持っていました。
なぜならこの50番は、
という内容で、さらにそのシリーズで唯一の黒文字盤モデル。つまり、ロレックスと共通項が多いのです。
黒文字盤は今でも人気がありますが、特に2000年代前半は人気が高く、ロレックスは同じモデルでも黒文字盤のほうが5万円以上高い状況があったぐらいです。
つまり、このPAM00050こそ、ポストロレックスとして現れた存在だったのです。
そして、翌年2002年になると50番以外のパネライにも注目が集まり、手巻き44mmモデルも相場が上昇。前年まで新品が20万円台で売られていたというのが嘘のように感じるほど、相場も人気度も高かったように思います。
そして、その2002年という時期においてPAM00050は新品が50万円台という水準。
この新品価格は、どのSSスポーツロレックス(デイトナを除く)よりも高い水準であり、まさに「ポストロレックス」として高嶺の花のように感じた存在です。
そして、この50万円台という新品実勢価格こそ、当時の定価48万円(税別)より高かったのです。(消費税5%の税込換算で、有名時計店2社の平均値=530,670円 定価=504,000円)
パネライは強い個性を持つ時計ですから、ブーム時において「ブームが去ったらどうなるのだろうか」と思う方もいたでしょう。
しかし、パネライの強い個性は、特異なデザインを狙ったものではなく、1950年代の軍用モデルの要素を取り入れているため、ブームとして廃れることはなく、その後も高級腕時計の有名ブランドとして現在まで人気が継続しています。
実際、手巻き44mmモデルなど多数のモデルにおいて価格変動が起こっており、安くなったり高くなったりしています。特に44mmモデルは、2013年以降値上がり傾向が目立つように感じます。
けれども、かつて人気だったPAM00050は、44mmとは違う値動きとなっていたのです。
2010年前後は、腕時計が全体的に安かった時期で、パネライの44mm手巻きモデルは20万円台など安い状況でした。
その一方で、PAM00050など40mmブレスレットモデルはそこまで安くなっておらず、価格変化があまり無かった印象です。
2015年にPAM00050は40万円台後半となり、2010年頃よりやや高くなったのですが、44mmモデルほど大きく変わったというわけではありません。
そして2017年、PAM00050は値下がり傾向となり、30万円台になってしまったのです。ちなみに、この時期白文字盤のPAM00051も30万円台で程度に問題のないものが数本売られていました。
2017年といえば、数多くの腕時計が値上がりした時期なのですが、PAM00050は逆に値下がりしていたのです。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2002年6月 の新品実勢価格(2社平均) |
2017年2月 の中古安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
オフィチーネパネライ
ルミノールマリーナ PAM00050 |
中古 | 14年 8ヶ月 |
¥530,670 | ¥378,000 | -152,670 | 71.23% |
このようにPAM00050の値動きは、他の時計とは異なる動きをみせる傾向があるのですが、理由として考えられるのは、「40mm ブレスレット」というパネライの知名度が低くなったということかもしれません。
PAM00050は、もともと「ポストロレックス」として注目され、新品時にプレミア価格となっていたモデルです。
しかし、2017年においてパネライには「革ベルトの44mmや47mm」というイメージがあり、「40mm ブレスレット」という印象がかなり弱まっていたのかもしれません。
ですから、2017年の2月頃において「40mm ブレスレット」という存在は、最も注目度が低かった時期だと推測できます。