パネライは1997年にリシュモングループ入りしましたが、その時期から2000年代前半の時代におけるラインナップは、
という構成でした。
ラジオミールが最高級だった時代、ゼニス製のムーブメントが搭載されたり、ラインナップの大半はPGやWGといった金無垢仕様であったなど、最高級にふさわしい内容となっていました。
その時代のラジオミールにおいて、特に目立っているのがレアな限定モデルの数々です。
代表的な限定モデルとして「ダイヤモンド文字盤」という仕様があり、それはルミノールにも存在します。
ルミノールの場合はムーブメントの変更が無いのですが、ラジオミールの場合は通常モデルではゼニスなのが、限定ダイヤモンドモデルとなるとフレデリックピゲに変化します。
そして、ダイヤモンド文字盤よりさらに目立っていたレアな限定モデルが、デットストックムーブメントが搭載されたモデルの数々です。
デットストックムーブメントの筆頭となったのが、1997年のPreA時代にデビューしたPAM00021ですが、21番に搭載されているのはロレックスの手巻きムーブメントです。
その後もヴィーナス179のデットストックムーブメントを搭載したツーカウンタークロノグラフなど、コレクターにはたまらないモデルが多々ラインナップ。
それら限定モデルが存在するのが2000年代前半までなのですが、通常モデルに搭載されていたゼニスムーブメントも2002年をもって終了しています。
パネライは2005年前後の時期から、ラジオミールを最高級シリーズからルミノール系と特に変わらないものへと変化させ、それ以降、レアムーブメントの限定モデルはほぼ見かけないという様子があります。
そんなレアムーブメント搭載の限定高級ラジオミールとして、2001年にデビューしたPAM00078は、レアムーブメントモデルとしては最後の時代に出たモデルだといえるでしょう。
搭載されているのはオメガのキャリバー920。1プッシュのクロノグラフ機能を備えるデットストックムーブメントです。
そのデットストックムーブメントをWGケースに収め、レアさと高級感という要素を演出しており、かなり魅力的なモデルに仕上げられています。
本記事で参考とした中古腕時計
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【48回払いまで無金利】パネライ ラジオミール セコンドカウンター 限定75本 … |
この時計はかなり数が少ないため、過去の価格と比較するのは困難ですが、デットストックムーブメント搭載の高級ラジオミールとして200万円台後半という価格帯は今の基準では「安い」とすら判断できるかもしれません。
高級時代の限定ラジオミールは、200万円以上という価格帯が標準的だといえますが、それらラジオミールはデットストックムーブメントではありません。
デットストックムーブメントは、通常のWGやPG、それのダイヤ文字盤といった限定ラジオミールよりさらに高い水準だと推測できますが、数が少ないため相場観を掴むのが難しい存在でもあります。
デットストックムーブメントの高級パネライという言葉からは、かなりの高級感を感じますが、キャリバー920を搭載したオメガはどのような中古価格であるのか気になるところでしょう。
自社製キャリバーを搭載したオールドオメガは、そこそこ評価されていそうだと思います。
しかし、いざ調べてみると意外と評価されていないことが判明。
現在国内での売出し情報は確認できなかったものの、海外では日本円換算で10万円前後という水準でした。また、過去に日本で売られた個体も同じような価格帯に位置しています。
ムーブメントの価格からのみ判断すると、パネライの価格は高いと感じてしまいます。
けれども重要なのは、同じキャリバー920でも、長らくデットストックとして眠っていたモノを21世紀に高級モデルとして再構成したという点です。
ロレックスのデイトナ16520も「エルプリ搭載」ということが重要な要素の1つとなっていますが、同じくエルプリを搭載した本家ゼニスのモデルは20万円台で入手可能です。
ムーブメントの観点だけを考慮すると、ゼニスだと20万円台、デイトナになると200万円台という理屈になる気もしますが、実際はそうではありません。
ですから、それと同じ文脈なのがこのPAM00078という存在であり、高級時代のラジオミールの名品であると感じるのです。