腕時計ブームだった2000年前後という時代において、カルティエの人気モデルといえば、パシャCやタンクフランセーズという存在でした。
それらは、ともに90年代にデビューしたシリーズなのですが、従来高級仕様だったモデルをカジュアルに若々しくしたというコンセプトとなっています。
ラインアップはステンレスが基本となっており、当時の新品実勢価格は20万円台後半という水準。価格的にはサブマリーナノンデイトと同程度だったのですが、ノンデイトよりメジャーな存在という印象がありました。
そんなパシャCには、さらに実勢価格が高いという高級な存在があり、それこそがクロノグラフだったのですが、価格の高さだけでなく「レアなパシャC」という印象もありました。
パシャCクロノグラフの新品実勢価格は30万円台後半という水準だったのですが、それ以上に高いという印象が不思議とあったかと思います。その価格帯なら、もう少し出せば当時プレミア価格だったエクスプローラーが狙えるという感覚もあったため、パシャCクロノグラフを選ぶというのは「なんだか余裕がある」という思いになるのです。クルマに例えるなら、ベンツのEクラスカブリオレという感じでしょうか。
そんなパシャCのクロノグラフは、もともとはグリッドがモチーフとなったデザインの白文字盤だったのですが、2000年頃に銀文字盤にバトンタッチ。
その銀文字盤は、タキメーターが追加されたことや、三つ目部分が黒となっており、前モデルよりクロノグラフを強調させるデザインとなっており、デビュー時から注目度が高かったように思います。
そんな、パシャCのクロノグラフという存在は、実勢価格が高かっただけでなく、リーマンショック後という時代においても20万円を切るということはありませんでした。当時は、パシャCも3針モデルが10万円台前半となっていましたから、クロノグラフは安くなっていなかったという印象でした。
しかし、そんなクロノグラフのパシャCはなんと2016年4月において15万8000円という個体が登場。
以前の様子を知っていたら、この15万円台という価格は驚きといえるでしょう。
ちなみに、リーマンショック後において既に10万円台前半となっていた3針のパシャCは、2016年当時もリーマンショック後と同じか、やや高い水準だったため、3針とクロノグラフの価格差は狭まっていたということになります。
そんなパシャCクロノグラフは、その後も20万円台に戻ることは無かったのですが、最近やや上昇気味という様子があります。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2016年4月 の安値(楽天) |
2018年7月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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カルティエ
パシャC クロノグラフ W31048M7 |
中古 | 2年 3ヶ月 |
¥158,000 | ¥178,000 | 20,000 | 112.66% |
パシャCクロノグラフW31048M7のボトム価格は、現在17万8000円という水準になっているのですが、これ以外の個体は20万円台という様子。
ここ2年ほどのW31048M7の様子からすると、今の状況は「ちょっと高くなったのでは」という感覚でもあります。
今後どのような水準となるかわかりませんが、相場が大きく変動しない状況が続いているパシャCにおいて、クロノグラフに様々な観点の動きが生じているというのは、興味深い現象だと思います。