1996年に登場したタグホイヤー「カレラ」の1964年復刻版。
レマニア製の手巻きムーブメントが搭載されていたり、ドーム型のプラスティック風防を採用するなど腕時計好きから評価を得そうな内容となっています。
しかし、その内容とは裏腹に近年までその世代のカレラが評価されることはなく、1999年頃から2015年頃までの15年以上に渡り、中古相場が15万円前後という状況が続いていたのです。
同じレマニアの手巻きムーブメントを搭載するオメガのスピードマスターも、一時中古が15万円程度となったことがありますが、それはリーマンショック後などの時期であり、2015年頃に至っては20万円台となっています。
ちなみに2015年頃において中古15万円程度で購入可能な腕時計はどのようなモノがあったかというと、オメガのクロノグラフではスピードマスターのオートマチックが選択肢となったかと思います。
スピードマスターのオートマチックは、ETAベースの自動巻ムーブメント。オメガの中では、レマニアベースの手巻きモデルよりも安い相場となっています。
ですから、カレラはその時点において評価されていなかったといえます。
ただ、内容が良くても見た目などの点において難がある場合、不人気モデルとなる場合もあります。
しかし、1964復刻カレラはそれに該当するどころか、かなり格好良い見た目だと感じます。
「格好良い」というのは個人差があるから一概に評価できない、という見方も当然あるでしょうが、1964年カレラは人気のある時計とデザインの方向性がずれていないと判断できますし、奇抜な要素もありません。
そんな1964復刻カレラに変化が生じたのは2016年のこと。
それまで15万円程度かつ何本か売られていたカレラの本数が少なくなり、10万円台後半という水準になったのです。
ちなみに、1964復刻カレラには、5つのモデルがあり、やや細かく世代をカテゴライズすることが可能です。
1996年から2001年頃まで
1996年から1999年頃まで
2000年頃から2001年頃まで
1964復刻カレラにおいて、デビューから生産終了まで生産されたのは銀文字盤のみとなっており、YGには銀文字盤しかないということも含め、銀文字盤がメインという印象があります。
そして、そんな銀文字盤の1964復刻カレラは今どのような水準になっているのかというと、ついに30万円台となっている様子です。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2018年3月 の安値(楽天) |
2018年9月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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タグホイヤー
カレラ CS3110 |
中古 | 0年 6ヶ月 |
¥249,800 | ¥313,000 | 63,200 | 125.30% |
銀文字盤のみがデビューから生産終了までラインナップされたため、希少度の観点ではレア要素が低いという気もします。
しかし、1964復刻カレラは全体的に数が少ないため、“銀文字盤だけ目立って多い”という傾向もありません。
むしろ、筆者の印象としては1996年デビューの黒文字盤(CS3111)のほうが数が多いという印象があります。
また、この世代のカレラで最も数が少ないのはCS3112(ピンク文字盤)だと思います。2015年以前の段階では、銀文字盤や黒文字盤などは常時売られている様子を目にしましたが、ピンク文字盤に関しては、売られているのを見かけるのは稀でした。
いずれにしても1964復刻カレラにおいて、文字盤色による価格差はあまりない傾向で、現在は黒文字盤についても30万円台前半となっています。