パシャの上級モデルとして2005年頃まで存在したパシャ38mm。
パシャオリジナルとも呼ばれるこのモデルは、38mmという当時としてはやや大振りなサイズと独特な見た目で、「高いパシャ」として意外な知名度があったといえます。
2000年前後という時代は、ロレックスをきっかけとした腕時計ブームといえる状況でしたが、そのような中でパシャという存在はロレックスと迷われるぐらいの存在感があったのです。
ただ、ロレックスと迷われたのはこの38mmではなく、パシャCのほう。
当時のパシャCの新品実勢価格は、デイトジャストの16200と同水準で、アウディとベンツを迷うような感じで、ロレックスと迷われていたと表現できるかと思います。
その一方で、パシャCより高級なパシャ38mmは、最も安い3針モデルでも、約45万円という水準。
クロノグラフに至っては約59万円という価格帯に位置し、当時のロイヤルオーク(14790)やオーバーシーズ(ラージ)の新品実勢価格より高かったぐらいなのです。
ですから、パシャ38mmは高級品というイメージが強く、その後の中古相場もそれなりに高いという印象でした。
2010年代前半までそのような印象だったといえますが、なぜならその時期、パシャ38mmのクロノグラフと青サブ16613の中古相場が同程度だったからです。
16613の新品実勢価格は、パシャ38mmクロノグラフが約59万円だった時代に、約54万円という水準でしたからこれら2本の中古相場が同じというのは、「どちらもそれなりに高級」と感じるといえます。
しかし、そんなパシャ38mmは近頃、全体的に安くなり、クロノグラフでも20万円台という水準に位置していました。ただ、2019年4月にクロノグラフは、30万円台に回復したため、一時よりは回復したという様子となっています。
では、3針モデルのほうはどのような様子かというと、こちらは2016年と比較して値下がり状態。
パシャ38mmの3針モデルには、グリッド有りと無しがあり、有りのほうが高い相場となっていますが、無しのほうでも、リーマンショック以前の感覚だと「それなりに高い」と感じました。
それが、今や約21万円という水準で購入可能となっており、程度が特に良いと思われるモノでも20万円台前半という状況となっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2016年4月 の安値(楽天) |
2019年5月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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カルティエ
パシャ38mm W31031H3 |
中古 | 3年 1ヶ月 |
¥238,000 | ¥213,840 | -24,160 | 89.85% |
このパシャ38mmには、ジラールペルゴのムーブメントが搭載されていますが、
という構成は、当時のオーバーシーズと同様です。
裏スケ仕様となっているため、そのムーブメントを眺めることもできるのが良く、ギョーシェ文字盤とともに、表側も裏側も見ていて飽きなさそうだと感じます。
パシャ38mmというモデルの独特の雰囲気はキャラクターが濃いため、好き嫌いがかなり分かれそうだと思いますが、これが好きという方がなかなか多く、密かな人気モデルとも感じます。
魅力的な内容であるのにもかかわらず、現在パシャ38mmは、リーマンショック後よりも安く買えるぐらいの水準であるのです。