近代的なノーチラスといえば、「裏スケ」という要素が魅力的である一方で、それを要因として失った要素が存在します。
それこそが、2ピース構造であるのですが、1976年の初代から2005年頃までのノーチラスに主に採用されていました。これは、単なるケースの構造という点にとどまらず、重要な機能美を与えていたと思います。
ノーチラスは、ジェラルドジェンタ氏によるデザインということが有名ですが、同じくジェンタ氏がデザインしたロイヤルオークにも、2ピース構造と似たような独特の構造があります。
両者に共通するのは、ベゼル部分に対して、通常の時計では裏蓋に相当する機能を与えるという点だと思います。
ノーチラスの耳は、まさにこの構造を実現させるという機能を含んでいたのですが、現在でのそれは、デザイン遺産となっているように感じます。
ですから、ノーチラスにとって2ピース構造ということは、実は重要だといえるのです。
けれども、2ピース構造時代だった2000年代前半までのノーチラスには裏スケモデルがありません。
裏スケという要素もまた、ユーザーの所有満足度を高めるために重要なモノだといえるため、2ピースを犠牲にしても致し方ないともいうことができるかもしれません。
ちなみに、筆者は以前、アクアノート(裏スケ)とノーチラス(裏スケでない)を持っていましたが、裏スケのノーチラスが欲しいと思ったことがあります。
ですから、“2ピース構造で裏スケ”という存在があれば、それがノーチラスとしては最高の組み合わせとなるといえるのです。
ノーチラスには多くのモデルがありますが、実はそれに該当するモデルが2つだけあります。
それは、2005年頃という時代に登場した3712/1Aと5800/1A。
3712/1Aは生産期間が1年未満と短く、以前からレアノーチラスとして有名な初代コンプリケーションモデル。5800/1Aは3800/1Aの後継モデルとして出た3針モデルです。
5711/1Aが登場したのもこの時代ですが、2ピース構造でない5711/1Aに対して、5800/1Aには伝統の2ピース構造が採用されていたのです。
5800/1Aは、意外な時期にひっそりと登場したレア要素を持つモデルだけに、数年前までは大きく注目されておらず、流通量も少ないことから相場がどのぐらいか判断するもの難しかったのです。
しかし、2017年から5800/1Aは、5711/1Aに対して100万円近く高い価格帯となっており、2017年6月の段階では約429万円、2018年7月の時点では約691万円となっていました。
ノーチラスの人気モデルといえば、5711/1Aという印象があり、2017年からかなり目立った値動きをしています。けれども、この5800/1Aは、5711/1Aがそういった値動きをしたとしても更に高い価格帯にいたのです。
そんな5800/1Aという存在ですが、2019年5月の今、なんと5711/1A青文字盤より安い状況となってしまっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2018年7月 の安値(楽天) |
2019年5月 の安値(ヤフーショッピング) |
変動額 | 残価率 |
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パテックフィリップ
ノーチラス 5800/1A-001 |
中古 | 0年 10ヶ月 |
¥6,914,000 | ¥6,880,400 | -33,600 | 99.51% |
2019年に入ってから、5711/1A-010は更に目立った動きとなり、3月時点では648万円、5月現在では708万円という水準に達しています。
また、2018年と比較して値動きした額は、実に126万円です。
その一方で、5800/1Aは、2018年7月と比較して値動きした額が約3万円のマイナスとなっており、ほぼ値動きしていない状況。今では、5711/1A-001や5711/1A-010より安い状況となっているのです。