雲上スポーツといえば、シンプルなモデルの印象が強いですが、その理由として大きいのは、パテックフィリップが2005年まで複雑機構をスポーツ系に用意していなかったからだといえるかもしれません。
2000年代前半の雲上スポーツのラインナップを見ると、ノーチラスには基本的に3針しかなく、唯一コンプリ的なものが採用されていた3710/1Aは、特殊な機構のパワーリザーブインジケーターを備えているものの、そのキャラクターは3針に近いといえます。
また、オーバーシーズを見ても、そのラインナップは3針とクロノグラフのみで、まさにロレックスのスポーツ系と同じだと感じます。
しかし、その時代において、ロイヤルオークにだけは様々な複雑機構モデルが存在していたのです。
というのも、ロイヤルオークは雲上スポーツの先駆者だけでなく、スポーツ系に複雑機構を採用したのも一番最初。
1980年代の段階で、既に永久カレンダーをロイヤルオークに搭載しているのです。
さて、そんなロイヤルオークが1990年代に出したのが、デュアルタイムという存在。
今ではデュアルタイムといえば、オーバーシーズの印象が強いかもしれませんが、これもロイヤルオークのほうが先なのです。
このデュアルタイムの特徴は、左右非対称デザインと、GMT機能をインダイヤルで表現したという点。
このインダイヤル式のGMTは、どうやらこのモデルが初ということですが、それをロイヤルオークから出すというオーデマピゲは、早くからスポーツ系にかなり力を入れていたということがわかります。
そんなデュアルタイムという存在は、コンプリケーションモデルながら、パテックフィリップのプチコンほどのインパクトがなかったようで、2016年の段階では、なんと80万円台という価格帯で購入可能だったのです。
当時、約89万円という水準だったのですが、3針の14790STなどと同じような価格帯に位置していたといえます。
ロイヤルオークといえば、最近3針モデルの値動きが目立っており、15400ST世代に限らず、2000年頃に現行だった世代も値上がり傾向。現在、14790は約149万円がボトム価格となっており、2016年と比較してずいぶん値上がりした印象です。
では、このデュアルタイムはどうかというと、こちらもきちんと値上がり状態。
2016年12月に約89万円だったのが、現在では約149万円となっており、約2年半という期間で60万円近い値上がりとなっています。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2016年12月 の安値(楽天) |
2019年6月 の安値(ヤフーショッピング) |
変動額 | 残価率 |
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オーデマピゲ
ロイヤルオーク デュアルタイム 25730ST.0.0789ST.09 |
中古 | 2年 6ヶ月 |
¥898,000 | ¥1,496,000 | 598,000 | 166.59% |
約2年半で60万円近い値動きというのは、さすが雲上スポーツという印象になり、優秀だと思う一方で、その評価は2016年でも、2019年現在でも3針と変わらない価格帯という点が気になるとも感じます。
パテックフィリップの場合、一時的に5711/1Aと5712/1Aの価格序列が逆転したことがありますが、基本的にはコンプリケーションのほうが高い水準。
それに対して、ロイヤルオークの場合はデュアルタイムと3針が同じような価格帯に位置しているのです。
確かに、デュアルタイムはなんとなくコンプリケーションという印象が薄いようにも感じますし、3針人気が高いのはわかります。
ただ、ノーチラス、アクアノート、オーバーシーズの事例を見ると、3針よりコンプリケーションのほうが高い傾向があるため、なぜロイヤルオークだけ3針の評価が高いのかということが気になります。