2000年頃登場したムーンフェイズは、ブロードアローとともに、当時の「上級なオメガ」という存在感でした。
ムーンフェイズには、白文字盤と銀文字盤、ブロードアローには白文字盤と黒文字盤が用意されていたものの、ユーザー目線では白文字盤の存在感が強かったわけなのですが、その理由は、当時の流通において白文字盤が圧倒的に多かったからです。
なお、ムーンフェイズの銀文字盤は「ヨーロッパ限定」ということだったので、日本では販売されていないわけなのですが、並行輸入店では普通に見かけ、その価格も白文字盤と変わりませんでした。
ちなみに、2005年の新品実勢価格は25万円前後という水準だったのですが、当時筆者は、友人に腕時計購入の相談をされた際、このムーンフェイズを勧め、友人は銀文字盤を購入しています。
さて、そんなムーンフェイズですが、中古市場では2016年頃から“変化”を感じられるようになりました。
最初に感じた変化は、中古売出し数が少なくなるということだったのですが、それまでブロードアローと特に変わらない入手難易度という印象があったムーンフェイズは、その時期から、中古売出しが数本という状態となり「数が減った」と感じたのです。
そして、2017年以降になると、ムーンフェイズの価格ははっきりと上昇。特に変化を感じたのは、2018年ですが、その際銀文字盤は50万円台という価格帯にまで達しました。
その一方で白文字盤は、なかなか30万円台を脱することがなく、一時期「もう少しで40万円台になりそうだ」と思ったら、結局その後、30万円台中盤、前半と下がっていく様子となったのです。
しかし、2019年2月には回復傾向となり、この白文字盤ムーンフェイズは、再度30万円台後半に上昇。
そして、それから8ヶ月が経過した10月の今、なんとこの3575.20のボトム価格は、40万5000円という水準に達し、ついに40万円台という水準となったのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2019年2月 の安値(楽天) |
2019年10月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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オメガ
スピードマスター ムーンフェイズ 3575.20 |
中古 | 0年 8ヶ月 |
¥398,000 | ¥405,000 | 7,000 | 101.76% |
この3575.20は、2017年の上半期から40万円台になりそうな兆しがあったもの、一旦下落してしまったため、40万円台となるのは、2005年以降において今回が初だといえます。
この世代のムーンフェイズは、先のように2005年という時期において、新品が25万円前後で購入可能という印象があり、かつては「高い」という印象はありませんでした。
しかし、生産終了となった2007年頃から中古相場が高くなり、その時期既に2005年の新品実勢価格より中古の方が高い状況となっています。
ただ、その後すぐにリーマンショックが発生。2012年頃までは、20万円台前半程度という様子となり、アベノミクス以降も、派手に上昇するという傾向がありませんでした。2017年頃からは、それまで以上に上昇したものの、それから今まで30万円台という水準を脱することがなかったわけです。
そういったことから、今回この3575.20が40万円台という水準となったことは、非常に感慨深いといえ、「紆余曲折あったゆえの40万円台」と感じます。
もちろん、この価格変化は、消費増税による影響があるといえ、消費増税を考慮すると上がっていないともいえます。
しかしながら、消費増税後でも、消費増税8%時代より安い価格となっている腕時計が少なくないことから、『30万円台⇒40万円台』といった大台を超えたことは、やはり大きな出来事だと感じるのです。