高級なパシャといえば「パシャ38mm」ですが、それに対して抱くイメージ像はステンレスモデルだと思います。
2000年代前半という時代、パシャ38mmは、安い価格帯に位置した『3針、グリッド無し』というモデルでも、約45万円という新品実勢価格。
当時の45万円という水準は、プレミア価格だったエクスプローラーと同じ。今の感覚に置き換えるならば、カラーベゼルのサブマリーナやGMTマスター2と同等といえるかもしれません。
ですからパシャ38mmは、安い価格帯のものでも、当時の“高い”と感じる水準と同程度だったわけなのです。
そして、それより上級クラスとなると、価格帯はさらに高くなるわけですが、パシャ38mmは高級なシリーズだけあって、SSの上にはコンビ、YG、WGが存在。
SSでも「高い」という感じたわけですから、2000年頃の印象としては、「YGのパシャなんて雲の上」という印象があったといえます。
しかし、そんなパシャ38mmは今、かつてのイメージとは全く異なる価格帯に存在。
以前の記事でもお伝えしているように、パシャ38mmの価格序列は、当時のロレックスと比較すると随分変わった位置となっているわけです。
そして、それはYGモデルでも同様。
YG、革ベルトという内容のクロノグラフモデル、W3014051は2008年4月の時点で約94万円という水準に位置していましたが、2016年5月には約84万円に下落。
2016年の印象でも「安い」と感じましたが、それから3年後の2019年現在では、さらに安くなっているのです。
現在、このW3014051は約71万円という水準で、2016年5月と比較して12万円程度の下落という状況。
かつて「高い」という感覚だったYGのパシャは、今やステンレスのロレックスより安いのです。
本記事で参考とした中古腕時計
|
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2016年5月 の安値(楽天) |
2019年11月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
カルティエ
パシャ38mm W3014051 |
中古 | 3年 6ヶ月 |
¥842,400 | ¥715,000 | -127,400 | 84.88% |
「ステンレスのロレックスより安い」というのは、6桁世代に限らず、5桁世代にも該当します。
GMTマスターの16700、GMTマスター2の16710、サブマリーナの16610、16610LVは現在このYGパシャより高い水準ですが、2016年までYGパシャより安い価格帯に位置していました。
また、2008年に至っては、このW3014051は中古90万円台という価格帯だったため、当時現行だった5桁SSロレックスとは、全くもって比較対象ではなかったといえます。
実際、2007年時点における上記5桁ロレックスの新品実勢価格はいずれも50万円程度という価格帯。最も高い16610LVの新品実勢価格ですら62万8000円という水準です。
しかし、今となっては、6桁どころか5桁と比較しても、このYGパシャのほうが安い状況。かつて、このパシャを憧れていた方にとっては、様々な事情が絡み合い、なんだか身近な存在に見えてしまうのではないでしょうか。