おそらく80年代頃に大流行したといえるのが、このカルティエのサントスガルベという存在ですが、2000年前後という時代となると前時代的な印象となってしまい、なんだか古臭く感じたように思いました。
そういった印象をだったのは、どうやら筆者だけでないようで、カルティエ自身もその時期サントスにおいてガルベを積極的に推しているとはいえない様子があったといえます。
実際、2004年に「サントス100」という新シリーズを登場させているのですが、それはまさにサントスを2000年代基準にしたという内容。筆者の当時の印象としても、サントス100という存在は「良い」と感じ、やっと近代化したサントスを見ることができたと歓迎した記憶があります。
さて、2000年代前半において、サントスガルベという存在は、「古臭い」という印象があったといえるわけですが、これまでにも何度もお伝えした通り、そういった感覚を感じる腕時計は、実はその後、人気となる傾向があります。
まさに、ノーチラスとGMTマスター青赤ベゼルがそれに該当するのですが、どちらも2000年代前半には不人気な存在でした。
それと同じように、2000年代前半に「古臭い」イメージだったサントスガルベも、2010年代中盤となっては、「かっこいい」と思われるようになってきたといえ、実際筆者もこのサントスガルベを欲しいと思う思考に変わっているわけです。
そして2018年には、サントスガルベの新シリーズが登場。再び、カルティエ自身がサントスガルベを推すようになってきたといえる状況です。
2018年まで、サントスガルベの中古相場は最も高いXLでも30万円台前半という水準でした。
サントスガルベには、機械式とクォーツ、XL、LM、MMなど複数のサイズがありますが、サイズが大きい機械式のほうが高い傾向があります。
サントスガルベはクォーツの男性用は10万円台、機械式となると20万円台前半という相場が目立っていましたが、そういった時代において、XLは30万円台という水準に位置していたのです。
実際、XLは特殊な存在であり、本来男性用の最大サイズがLMであるところ、それより上の「XL」というサイズ表記であることや、登場した時期が2005年というように、他のサントスガルベとは世代が異なる点などがあるわけです。
ですから、抜きん出て高いというのは当たり前だったのですが、2018年にはその相場は更に高くなり、なんと40万円台という水準となっていたのです。
サントスにおいて、こういった値動きをする存在は珍しく、2018年の水準はたまたまと感じた方もいるかもしれません。
しかし、それから1年が経過した2019年の今でもサントスガルベXLは依然40万円台という水準となっており、以前とは違う価格帯が定着したといえる様子であるのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2018年10月 の安値(楽天) |
2019年12月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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カルティエ
サントスガルベ W20098D6 |
中古 | 1年 2ヶ月 |
¥418,000 | ¥428,000 | 10,000 | 102.39% |
新しいサントスガルベは、このXLより大きなサイズとなっており、ブレスレットも脱着が容易にできる仕様となりました。
「ワンタッチでのブレスレット交換」といえば、2002年に登場したカルティエのロードスターがありますが、今となってはロードスターというシリーズは廃盤となっています。
現行のサントスガルベは、その機能の復活といえるわけで、サントスという伝統的な見た目と、新しい機能性の融合として、魅力的な存在とも感じます。
しかしながら、ブレスレットの脱着を強調したためか、ベゼル部分の鏡面がブレスレットと地続きになったようなデザインとなり、サントスらしさは、やや薄れたという印象もあります。
それに対して、このサントスガルベXLは、往年のサントスらしい見た目であるため、新しいサントスガルベが出て以降、需要が高まったのかもしれません。