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現在相場考察

40万円以下、ラジオミールブラックシールPAM00183

2020年2月12日更新
オフィチーネパネライのラジオミールPAM00183について斉藤由貴生が執筆。本記事では2018年11月の安値(楽天)と2020年2月の安値(楽天)を比較し現在相場を考察。この1年3ヶ月での変動は¥-23,000だった。

ラジオミール ブラックシール PAM00183についての考察(2020年2月)

パネライのモデルで、愛称が存在するものはあまり多くありませんが、このPAM00183には「ブラックシール」という名前があります。

それは、文字盤にもはっきり書かれているのですが、なぜそういった要素が与えられているのかというと、それはこの183番がデビューした2004年当時の事情だといえるでしょう。

ラジオミールというシリーズは、今でこそ「高級」という要素を感じませんが、2000年代中盤まではパネライにおける最高級シリーズというポジションを担っていました。

ラジオミールとなると、搭載されるムーブメントはゼニスエリートといった機種だったり、アラームといったように、何らかの仕掛けが備わっていた傾向があったわけです。

しかし、このブラックシールのムーブメントは、当時のルミノールと同じETA(ユニタス)。

ですから、高級シリーズであるラジオミールのカジュアル版であることを示すために「ブラックシール」というサブネームが与えられたのだと思います。

こういった手法は、高級品において珍しくありませんが、高級シリーズのカジュアルバージョンというキャラクターは、なかなかな注目度となるケースが多いと感じます。

具体的には、1999年に発表されたロレックスヨットマスターがそれに該当すると思いますが、当時、最上級スポーツだったヨットマスターのカジュアルモデルとして登場したロレジウムは、一時的に定価以上の水準となっていたぐらいです。

それと同様、このブラックシールも2004年の登場時から非常に注目度が高く、かなり人気なモデルだったといえます。

さて、このブラックシールが面白いのは、その高い人気度がその後も継続していたという点です。

このブラックシールが出た翌年の2005年頃からラジオミール脱高級化を進むこととなるわけですが、そうなるとブラックシールのヨットマスターロレジウム的キャラクター性は失われることになるわけです。

まして、ラジオミールには「ラジオミールベース」という、ブラックシールと同じキャラクターを持つモデルが登場しているため、ブラックシールならではの特徴は強いものではなくなるといえます。

ですから、ブラックシールにはそのような不利な状況があったわけで、「デビュー時だけ注目度が高かったモデル」となっても不思議ではなかったのです。

けれども、ブラックシールは2004年のデビューから最近までの間、パネライの人気モデルというポジションをキープし続けていたように思うのです。

その理由こそ高めな中古水準だといえるのですが、これまでブラックシールは同世代の他モデルと比較して高い水準ということが多く、値動きも2012年から2018年まで上昇傾向となっていました。

本記事で参考とした中古腕時計

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本記事の価格比較

腕時計 状態 期間 2018年11月
の安値(楽天)
2020年2月
の安値(楽天)
変動額 残価率
オフィチーネパネライ
ラジオミール
ブラックシール
PAM00183
中古 1年
3ヶ月
¥419,000 ¥396,000 -23,000 94.51%

しかし、そんなブラックシールは今、2018年と比較して値下がり状態となっており、その水準も40万円以下という状況。同世代のルミノールマリーナなどと比較しても、むしろやや安いといった価格帯となっています。

この時計は2012年に約31万円、2016年に約36万円、2018年に約41万円となっていたわけですが、2020年2月現在では約39万円という水準です。

同世代のルミノールマリーナの価格や、他の腕時計の相場を考慮し、ブラックシールのこれまでの値動きを見ると、今の時代において40万円以下になったのは意外だと感じます。

この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
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