パテックフィリップのゴールデンエリプスは、1968年にデビューしてから現在に至るまで、ほぼ形を変えずにラインナップされ続けているモデルです。
ゴールデンエリプスの立ち位置は、おそらく「それまでの時計とは異なる」という第三のジャンルといったところだといえます。
そのような立ち位置といえば、ノーチラスと共通だといえますが、実際古い広告では、ノーチラスとゴールデンエリプスは同じような広告デザインが採用されていたといえます。
筆者としても、ノーチラスとゴールデンエリプスの雰囲気は似ていると感じ、どちらも知れば知るほど魅力が伝わってくる珍味的存在だと感じます。
さて、そんなゴールデンエリプスですが、2018年には超長寿モデルだった3738が生産終了となったことにより、現行モデルは5738のみとなりました。
3738は縦幅35.6mmなのに対し、5738は39.5mm。3738も他のエリプスと比べると大きいため、「ジャンボ」といわれますが、そのサイズを大きく上回っているのがこの5738。「エクストラジャンボ」ともいえるサイズ感です。
5738のデビューは2008年でしたが、その際ゴールデンエリプス40周年記念として出ています。ラインナップされたのは、このプラチナモデルだけで、限定モデルもリリースされています。
そして、それから10年後の2018年にRGの5738R-001が追加。3738の生産終了とともに、5738がメインとなりました。
ただ、そうはいっても、5738の個体数はかなり少ないため、「現行のメインモデル」というよりも、「希少」「レア」といった印象のほうが強いといえます。
実際、この5738P-001の中古売出しも久々といった感じで、2017年11月以降の観測では、今回が3回目。2019年には一回も売り出されなかった様子であるため、その出現頻度は“1年に一度未満”といったところであるのです。
ゴールデンエリプスに対する現在の認識は、おそらく「分かる人には分かる」といったところですが、魅力を感じている方でも、実際に「買う」を実行する勇気はなかなか出ないかもしれません。
なぜなら、この5738P-001の定価は605万円。シンプルな2針のモデルとしては、かなり高い価格帯であるわけですし、ノーチラスのような世界的人気もないため、勇気がいるのも分かります。
そういったことから、この5738P-001の出現率は低く、“1年に一度未満”といったところなのでしょう。
では、今回この5738P-001は今、ではどういった中古水準なのかというと、320万円であるのですが、これは前回お伝えした2017年11月水準と比較して約17万円の差にとどまります。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年11月 の安値(楽天) |
2020年4月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
ゴールデンエリプス 5738P-001 |
中古 | 2年 5ヶ月 |
¥3,024,000 | ¥3,200,000 | 176,000 | 105.82% |
この320万円という水準は、パテックフィリップの2針or3針のプラチナモデルとしては、至って普通な価格帯だといえます。
そういった意味では、ゴールデンエリプスの特殊性に対する評価がほとんどされていない状況だと感じます。
ちなみにこの5738P、2018年1月には約280万円という額で売り出されているため、それと比較すると今回の値動きは40万円程度といったところですが、いずれにしても300万円前後といえる範囲内に収まるため、特に目立った評価はなされていません。
筆者は、ゴールデンエリプスのキャラクターや魅力がノーチラスに通じるものがあると数年前から言っていますが、目立って評価されるという状況には未だ至っていません。
今後評価されるのかどうかは全くわかりませんが、現状の5738Pを見ると、『独特な魅力を放つ定価600万円台のモデルが中古320万円』というのは、やはり安いのではないかと感じます。