これまで前期のハックなしモデルがボトム価格に位置するといった傾向があった1016ですが、2019年8月からはボトム価格が70年代中盤頃の個体になっている傾向があります。
そういったことは、2020年5月現在も同様で、今ボトム価格に位置する個体もまた70年代中盤頃です。
1016は20年近く前から、88年頃の最終モデルが最も高い傾向がありますが、前期モデルがボトム価格でなくなったという点は、デイトナ16520などと同じような現象になっていると感じます。
16520も20年前の段階から最終型であるP番が最も高く評価されていますが、その一方でシングルロックの初期モデルの評価は高くなかったのです。しかし今となっては、シングルロックは評価されており、16520のボトムに位置するのは96年から97年頃のいわゆる中期世代。
中期世代が評価されづらいといった点が1016と16520等で共通しているわけです。
さて、そんな1016ですが、近頃の動きはどうかというと、やはり新型コロナによる影響で下落となっている様子があります。
前回お伝えした2019年8月の段階でも、下落トレンドがあり、その頃も値下がり傾向でしたが、今回また下落したことによってその水準は更に安くなっています。
現在、1016の日本ロレックス明細書付き個体のボトム価格は120万円なのですが、これは2019年8月水準と比較して14万円の下落です。
2019年8月時点の水準でも、2016年と比べて15万円程度しか上昇していなかったため、2000年頃の印象からすると、意外なほど値動きしていない様子だった1016。そして、今回の下落によって、現在水準は、2016年7月水準と1万2000円ほどの差しかない状態であるため、意外なほど評価されていないとも感じるわけです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2019年8月 の安値 |
2020年5月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ロレックス
エクスプローラー (日本ロレックス明細書) 1016 |
中古 | 0年 9ヶ月 |
¥1,340,000 | ¥1,200,000 | -140,000 | 89.55% |
2000年前後における1016の印象は、まさに「憧れの高価なモデル」といったところ。現在の腕時計に例えるならば、ノーチラスなどが近いキャラクターだといえるかと思います。
そういったモデルに例えたならば、2016年水準とほぼ同等となっていることがいかにインパクトがあるか分かるわけです。
実際、他の人気モデルの場合、下落トレンドとなっている今、2016年水準並に下落したモデルはあまりありません。
それに対して、1016は14万円程度の下落幅でも2016年水準と同等となってしまうわけですから、いかに近年値動きしない傾向となってるかが分かります。
1016の魅力は今の時代でも決して失われていないと感じますし、むしろ2000年頃よりもヴィンテージ加減は増しているわけで、より一層魅力的に見えます。
では、なぜ1016は評価されない傾向があるのかというと、やはり相場の見極めがしづらいからだといえます。
1016に限らず、4桁世代には「日本ロレックスの明細書」が重要だったり、個体によって条件がかなり異なる、といったようになにかと難易度の高い見極め力が要求されます。
そういったことから、購入する側も売る側も取扱いが難しく、評価されづらい傾向となっているのでしょう。