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腕時計特集

阿部泰治のパテック論 ~第11回~

2020年6月24日更新

皆さんこんにちは。

気が付けば6月も半分が過ぎようとしていますね。全世界に衝撃を与えたコロナウイルスのニュースから半年、、、なんとも時間が過ぎるのは早いなと感じます。そういえば、昔から5月半ば~後半には「五月病」なんて言葉が流行りますが、今年はそんな話題は一切ありませんでしたね。もともと”GW休暇後に憂鬱になる”ことからそんな言葉が生まれていますが、「自粛」「ソーシャルディスタンス」「STAY HOME」と、憂鬱もくそも、、、

まぁ、大型連休があったからこその「五月病」

今後はまた別の言葉がうまれるのでしょうね。是非とも前向きな言葉がうまれてくれればと思います。

さて、今回は【 パテックフィリップ 】 ワールドタイム・クロワゾネについて書いていきます。いつも通り、少しでも皆さんに有益な情報をお届けできるように頑張りますので、最後までお付き合いください。

” クロワゾネ “とは

先ず” クロワゾネ “とはなんぞや?ということですが、簡単に言いますと『金線で枠を仕切り、そこに色が付いたエナメルを流し込み焼き上げる』という高度な技法を指します。

1937年に【 パテック フィリップ 】は、1937年にルイ・コティエ方式のワールドタイム機構を搭載する初めての腕時計「Ref.515 HU」を発表しました。

*Ref.515 HU 参照:https://www.antiquorum.swiss/

その後、1939年発売の「Ref.1415 HU」1953年発売の「Ref.2523 HU」は、ワールドタイムとして時計マニアやコレクターには知られているモデルですが、海外のオークションなどでしかほぼ見かけることもなく希少性も非常に高いです。このモデルのごく一部に、ダイヤル中央に世界地図や大陸が” クロワゾネ ”で描かれたものもあり、過去の海外でのオークションでも記録的な金額での落札がされておれます。

40年越しの復活

40年以上の時を経て、2000年にワールドタイムが復活し、「Ref.5110」が発表されました。

*Ref.5110G

ただ、残念なことにこの時は” クロワゾネ ”のモデルの用意はありませんでした。

そして、2006年に「Ref.5110」の後継機として「Ref.5130」が発表され、その2年後の2008年に待望の現代版ワールドタイム・クロワゾネ「Ref.5131J」が大西洋を中心として、ヨーロッパ、アフリカ大陸、南北アメリカ大陸が描かれた文字盤でお目見えとなりました。

*Ref.5131J 参照:sothebys

YG(イエローゴールド)ケースにどこかアンティークを思わせるような色使いが特徴です。初めて見た時に、日本を含むアジア圏が描かれていないのが残念な印象でしたが、この品が良い佇まいはさすが【 パテックフィリップ 】であるといえます。

そして、ワールドタイム・クロワゾネ第二弾として「Ref.5131G」が発表されます。

*Ref.5131G

WG(ホワイトゴールド)ケースにブルーを基調とした” クロワゾネ “の文字盤がとても綺麗で、次に紹介する「Ref.5131R」の文字盤と甲乙つけがたいモデルです。ヨーロッパ/アジアと保証書の文字盤表記にも記載があり、極小ではありますが日本らしきものを確認することができます(笑)発売当初の正規価格ですが、おおよそ500万円代であったことは間違いないかと記憶してます。当時から流通個体は極めて少なく、市場では1000万円オーバーで取引されていました。

コミットでは過去に美品、未使用品、ビニールを開封していない通称”シールド”品での販売実績がございます。現在も一時期からするとお求め安くお得感が強い価格で絶賛販売中です。⇩⇩⇩

★PATEK PHILLIPE Ref.5131G-001

温かみのあるローズゴールド仕様「Ref.5131R

第三弾として、2015年の新作で「Ref.5131R」が温かみのあるRGケースにアジア/アメリカ大陸を左右に描いた” クロワゾネ “文字盤で登場しました。

*Ref.5131R

こちらも針中心部上に日本らしきものを確認出来ます。先程もお伝えしましたが、ワールドタイム・クロワゾネ「Ref.5131」は、様々なケース素材で発表され、自分が日本人であるというのもありますが、WGケースとこちらのRGケースの文字盤がエナメルの色使い・配色、日本を確認できるという点で非常に好印象を持てるモデルであるといえます。

極上のプラチナ仕様

「Ref.5131」ワールドタイム・クロワゾネシリーズとして、2017年にプラチナケースにブレスレット仕様で「5131/1P」が発表されました。

*Ref.5131/1P-001

保証書には北極を意味する” POLE NORD ”の記載があり、白を基調とした北極から見た世界地図が文字盤の中央部に描かれております。ケース、ブレスレットともにプラチナ仕様なので、重厚感もありワールドタイム・クロワゾネシリーズの大トリにふさわしい時計かと思います。プラチナモデルは非常にカッコいいのですが、” クロワゾネ “技法を用いたエナメル文字盤との組み合わせは、革ベルトの方が合っているのかな?とも個人的には感じます。(生意気にすみません)

2019年新作「Ref.5231J

最後に2019年の新作として、新たなワールドタイムケースに収められた、まだ実物を見ていない「Ref.5231J」について触れたいと思います。

*Ref.5231J(2019) 参照:https://www.patek.com/

現行の第三世代のワールドタイム「Ref.5230」にないケース素材のYG(イエローゴールド)に “クロワゾネ “技法が文字盤中央部に施され、特殊なエナメル加工で装飾されたモデルです。第二世代「Ref.5130」でも好評だった『アップルハンド』が採用されている点なども共通していますが、ケース形状による印象が大きいのか、よりクラシックに見えます。

まだ実物を見れていませんが、新しいワールドタイム・クロワゾネ「Ref.5231J」を見た時には、自分の期待を裏切るほどの良い印象を抱くだろうと感じます。

まとめ

以上” クロワゾネ “についてお話いたしましたが如何でしたか。正直” クロワゾネ “が技法だったことすら、知らない方が多いのではないのかな?と思います。(知ってたらすみません)

世界を飛び回るビジネスマンにはもってこいのモデルですが、こうしてあらためて各モデルを振り返ると、純粋にデザイン自体が「品があり、秀逸なモデル」だなと感じます。

連載を始めてみて思いましたが、やはり【 パテックフィリップ 】は奥が深いですね。是非、この奥深さに1人でも魅了される方が増えればうれしい限りです。

この記事の執筆者
阿部泰治
コミット銀座 店主 銀座著名店で長きに渡り高級腕時計を取り扱い、2016年1月、コミット銀座を創業。 ロレックスやパテック・フィリップをはじめとした希少品やコレクターズアイテムを多数扱う実績を持つ。 時計本来の価値、時価を判断し、委託手数料の業界最安値水準を確立。
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