長らく男性用ラインナップがミディアムサイズのみの展開だったノーチラスですが、初代3700以来久々のジャンボサイズとして1998年に3710/1Aデビューしました。
ノーチラスといえばエンボス加工の青文字盤という印象がありますが、90年代後半には、その時代の最新仕様として黒文字盤がプッシュ。この3710/1Aと同時期に3800/1Aの黒文字盤もデビューしていますが、「マットな黒文字盤とローマ数字」という組み合わせが当時のノーチラスの代表的存在だったのです。
ただ、3710/1Aは98年にモデル自体がデビューしたために、3800/1Aのようにいくつかの文字盤色バリエーションがあるということがなく、黒文字盤のみのラインナップとなっていました。
また、単なるジャンボサイズというだけでなく、パテックフィリップが特許を取得した特殊な機構のパワーリザーブインジケーターも搭載されるという、珍しい内容となっています。
通常、パテックフィリップのラインナップでは、パワーリザーブインジケーターの搭載はコンプリケーション扱いとなりますが、このノーチラスの場合はそうではないでしょう。
そういった内容はパテックフィリップとしては珍しいのですが、これに限らず、イレギュラーさが多岐に渡るモデルだといえます。
そのようなことから、3710/1Aは近年では高い評価となっており、年々上昇する傾向がありました。
具体的にはどういった様子だったかというと、2016年10月に約286万円だったのが、2018年1月には約429万円、同年7月には538万円。そして、それから1年後の2019年7月になると約699万円となっています。
2018年以降、3710/1Aは時が経つごとに上昇するといったように、値上がり加速度が高くなっていたように感じます。
しかし、そんな3710/1Aは2019年から1年近くが経過した今、大きな値動きとはなっておらず、1年前とほぼ同じ水準となっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2019年7月 の安値 |
2020年6月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
ノーチラス 3710/1A-001 |
中古 | 0年 11ヶ月 |
¥6,998,400 | ¥6,980,000 | -18,400 | 99.74% |
3710/1Aは、1年前と大きく変わらないという様子ですが、実はこれは「評価できる」といった見方をすることができます。
なぜなら、この1年という期間には、大きな下落トレンドが2回もあり、その結果多くのモデルはピーク時の水準を下回っているからです。
特にノーチラスの場合、5711/1A青文字盤は、ピーク時よりも現在水準が約193万円安いといった状況となっており、4月水準に対して値下がりとなっている傾向もあるぐらいです。
それに対してこの3710/1A-001は1年前とほぼ同様の水準となっているわけですから、ある意味強いといえるわけです。
ちなみに、2019年7月において5711/1A-010は858万円、この3710/1A-001は約699万円でしたが、2020年6月現在では前者が約665万円、後者が698万円となっており、1年前と価格序列が逆転しています。
この3710/1A-001のようなキャラクターは、愛好家目線だとたまらない1本だといえる反面、その魅力はある程度腕時計に詳しくならないと分からないという傾向があります。
そのため、長期的な目線となると現行モデルよりも強さを発揮できるのでしょう。