パテックフィリップは、長らくクロノグラフムーブメントを持っておらず、クロノグラフとなるとレマニアといったように他社ベースのムーブメントが採用されていました。
そうはいっても、その時代のクロノグラフが評価されないといったことはなく、むしろ評価が高いといえるぐらい。5070などは値下がりといった印象もありますが、それでも700万円以上という水準です。
ただ、自社製クロノグラフということもまたインパクトがあるため、結果的にパテックフィリップのクロノグラフモデルは他社ベース、自社製を問わず、どちらも評価されている印象です。
パテックフィリップの自社製クロノグラフは、2006年にノーチラスに搭載されてデビューしましたが、「ノーチラスからデビュー」ということがさらなる話題性を生み出したといえます。
ノーチラスとともに、5960Pもデビューしたのですが、これもまたインパクトがあったモデルだといえます。
こちらの内容は「クロノグラフ+年次カレンダー」となっており、従来であればグランドコンプリケーションに匹敵する機能を有していたわけです。
さらにプラチナ製となっており、スポーティーなノーチラスに対して、最高級といった印象のあるモデルだったといえます。
ちなみに2009年にはローズゴールド版が登場していますが、“最初はプラチナのみ、後からローズゴールドが追加”といった展開はクロノメトロゴンドーロと同じです。
そんな5960Pですが、2014年には生産終了。が、しかし、それと入れ替わるようにこの5960/1A-001がデビューしています。
パテックフィリップのステンレスモデルという存在は、ノーチラスなどスポーツ系(及びtwenty-4)を除くと未だに少数派であり、かなりレアという印象が強いといえます。
今年2020年に登場した限定モデルの6007Aもそうですが、なにかと意外性が強いのです。
5960Pというモデルの印象として、かなりな上級クラスというイメージがあったのに、それと入れ替わるようにステンレス、それもブレスレットタイプが出るというのは、文脈としては強いインパクトだといえます。
そのため、5960/1A-001は長らく「高くて人気のあるパテックフィリップ」という印象があったわけですが、そのようなイメージとは逆に、中古市場ではそれほどの評価となっていません。
そういった様子は現在でも同様なのですが、今ではさらに値下がりしているという印象となっています。
今年の1月に5960/1A-001は約486万円という水準だったのですが、それは2019年1月に対して約29万円の下落だったのです。
そして今、5960/1A-001は約437万円となっているのですが、2020年1月に対して約49万円の値下がりとなってしまっている状況です。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2020年1月 の安値 |
2020年6月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
年次カレンダー クロノグラフ 5960/1A-001 |
中古 | 0年 5ヶ月 |
¥4,868,518 | ¥4,378,000 | -490,518 | 89.92% |
これまで記事でお伝えした5960/1A-001の水準ですが、2015年5月の新品実勢価格(安い順の3社平均値)が約587万円、2019年1月の中古ボトム価格が516万円、2020年1月が約486万円、2020年6月現在が約437万円です。
つまり、5960/1A-001は年々安くなっている状況であるわけで、これまで一度も「値上がり」といった様子をお伝えしたことがないのです。
5960/1A-001は先にお伝えしたように、注目モデルといった印象があるのに、なぜこのような中古相場となっているのでしょう。
その答えとして考えられるのは、5960/1A-001の評価が文脈に頼る部分が大きいといった点かもしれません。
5960/1A-001のことを理解するためには、5960Pという存在を知っていることや、過去のクロノグラフ事情などの知識が必要ですが、そのような楽しみ方は多くの時計ファンにとってスタンダードでない可能性があるわけです。