2000年代中盤頃まで、腕時計の「大きなサイズ」は38mm程度という印象でしたが、パネライをきっかけとしたデカ厚ブームによって、一気に42mm程度にまで拡大した経緯があります。
今となっては、2000年代中盤頃からのサイズが「大きすぎた」と改められ、新作のサイズは2000年代中盤よりもやや小さいといった傾向があるといえますが、38mmにまでは戻っていないでしょう。
そういったことからか、38mmというサイズは現在水準では「大きい」と表現されることがあまりないわけです。
レベルソの場合、レクタンギュラーケースのため、縦幅と横幅、どちらを基準値としてもラウンドと比較するのは難しいですが、このビッグレベルソのサイズ感は、ラウンド型の38mm程度といえるかと思います。
そういった意味では、ビッグレベルソという名前であるにも関わらず、現在基準ではビックでないわけで、特に若い方にとってはピンとこない1本となってしまうかもしれません。
しかし、このビッグレベルソは当時の文脈を知る方にとっては、なかなかグッと来るモデルであり、筆者も好きな1本であります。
このビッグレベルソが、メインな位置にラインナップされていたのは90年代後半から2000年代前半といった時代ですが、その頃、レベルソのラインナップは今よりだいぶシンプルでした。
2000年代中盤頃から、レベルソにはサイズが多々追加され、様々なモデルが登場しましたが、ビッグレベルソ時代は、把握できるぐらいのラインナップ数だったといえます。
もちろん、コンプリケーションを含めると多様なラインナップがあり、レベルソマニア以外には全体像の把握が難しい側面もあります。けれども、3針といったシンプルなラインナップに限ると、当時のレベルソ(メンズ)は、レベルソクラシックとビッグレベルソ、レベルソデュオぐらいしかなく、それぞれがエントリー、上級、高級といった役割を担っており分かりやすかったといえます。
なお、レベルソデュオは、文字盤をひっくり返した裏側にGMT文字盤があるため、コンプリケーション的でありますが、表の見た目は3針といったことから、ビッグレベルソの上級版と捉えることができます。ちなみに、ビッグレベルソだと通常文字盤ですが、レベルソデュオだとギョーシェ仕様の文字盤となるように、「よりデラックス」といった差別化があるのです。
そんなビッグレベルソの中古相場は、2016年の段階で約39万円という水準だったのですが、2019年5月には約47万円にまで上昇。ジャガールクルトは近年、高くなったり安くなったりを繰り返すというように、相場観が掴みづらい傾向がありますが、2019年5月の水準は、当時のレベルソデュオなどと比較しても自然な水準だったため、値上がり傾向だといえたわけです。
しかし、それから1年が経過した今、このレベルソデュオ270.8.62は値下がりとなっている様子です。
現在水準は、約42万円なのですが、2016年のように30万円台となっていないことから、そこまで違和感のある値下がりではないといえるのではないでしょうか。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2019年5月 の安値 |
2020年7月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ジャガールクルト
ビッグレベルソ 270.8.62 |
中古 | 1年 2ヶ月 |
¥478,000 | ¥429,800 | -48,200 | 89.92% |
現在水準は、約42万円ですが、マニュファクチュールの手巻き上級モデルとしてはなかなかお得感がある水準だと感じます。
2本目の時計として「本格的なモデルを選びたい」といったニーズには、まさに最高のマッチングだと思います。