パネライにはいくつかの世代がありますが、リシュモン入りから2005年頃までの時代では、ラジオミールが高級ラインといった役割を担っていました。
その時代といえば、パネライが世界的大ブームとなった時期がかぶるわけで、まさにパネライの黄金期ともいえる世代だと感じます。
そして、その頃には、ルミノールにも高級モデルが一部用意されていたのですが、それらはいずれも「ちょっと高い」のではなく「ずいぶん高い」といった価格帯に位置していたのです。
それこそがこのダイヤモンド文字盤なのですが、1998年に登場したPAM00030はバーインデックスがバケットダイヤとなっているモデルです。
同時期に、他にもダイヤモンド仕様のルミノールがいくつか作られたのですが、それらはリューズガード部分だけがダイヤモンドという32番、ベゼルとケースの間だけがダイヤという33番など、いずれも癖の強いモデルだといえます。
そのようなキャラクターとレア感から、「ダイヤ」という要素はパネライにおいてかなり評価される傾向があるわけです。
30番は、PAM00002のダイヤ文字盤モデルといったところですが、その相場差は随分凄い様子。他のブランドであれば、ダイヤ文字盤と通常文字盤の価格差はせいぜい数十万円といったところですが、パネライの場合は150万円程度の差に及ぶのです。
さて、そんなPAM00030という存在ですが、現在相場はどういった様子かというと188万円といった水準。これは、2017年8月水準と比較して10万円ほどの値下がり状態なのですが、それだけでなくPAM00130との価格序列も逆転しているのです。
130番は2002年に登場したダイヤ文字盤ですが、30番との違いはバーインデックス部分です。30番はバケットですが、130番は3・6・9同様のドットとなっています。
そのため、これまでの事例ではバケットの30番のほうが130番よりも高かったわけですが、30番の1998年登場という“古さ”も人気要素といえるでしょう。
実際、今年3月時点では30番より130番のほうが安かったのですが、この数ヶ月でなぜか様子が変わってしまったようなのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年8月 の安値 |
2020年7月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
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オフィチーネパネライ
ルミノールベース PAM00030 |
中古 | 2年 11ヶ月 |
¥1,989,000 | ¥1,880,000 | -109,000 | 94.52% |
なぜ30番が安くなったのか、その理由ははっきり分かりません。
ただ、1つ注意しなければならない点があると感じたのですが、それは年式です。
30番は98年デビューというように、プレヴァンドームやPreAに近い年式ですが、実は2005年頃まで作られています。また、一時は生産されなかった年もあるようで、90年代モデルと2000年代中盤モデルとではややキャラクターが異なるといえます。
それら2つの年式は、バックルによって見分けることができ、通常のルミノールと同じバックルが前期、Dバックルになったのが後期だと思われます。
とはいうものの、SSバックルは費用的にも交換難易度がそれほど高くないため、バックルだけで年式が必ずしも判断できるわけではありません。
また、年式によって綺麗に価格序列が定まっているわけでもないため、前期が特に評価されているともいえないわけです。
以上のことから、30番が安くなった原因は不明なのですが、以前と比べて中古売出し数がだいぶ増えているという変化があります。
いずれにしても、30番という存在は、かなりレア感の強いモデルだったわけですが、値下がりかつ数がそれなりにある今、購入するチャンスといえる時期なのかもしれません。