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現在相場考察

トリチウム個体の魅力、パシャC W31043M7

2020年9月30日更新
カルティエのパシャCW31043M7について斉藤由貴生が執筆。本記事では2017年9月の安値と2020年9月の安値を比較し現在相場を考察。この3年0ヶ月での変動は¥-7,200だった。

パシャC W31043M7についての考察(2020年9月)

パシャCにはいくつかの世代がありますが、ちょうど腕時計ブームといわれた2000年前後の時代に現行だったのがこの黒文字盤W31043M7です。

これは、同じくスモールデイトの白文字盤と同じ世代ですが、白文字盤が2000年にビッグデイトにモデルチェンジされて以降も、黒文字盤だけモデルチェンジされることなく売られていました。

そのため、白文字盤と比べて近代的な個体が多いという傾向があり、実際「L表記」の文字盤が中古市場に多い傾向だといえます。

この「L」はルミノバを意味するのですが、ちょうどこの90年代後半という時期に、それまでのトリチウム(T)からルミノバ(L)に発光塗料が変更された経緯があります。

これは、カルティエに限らず、高級腕時計ほぼ全体に見られる傾向。パネライやロレックスでは現在、「トリチウム」が人気要素となっているため、有名な「アイテム」だといえるでしょう。

かつては、ルミノバのほうが「新しい」という理由で人気があったのですが、トリチウム文字盤が生産終了になってから20年近くが経過した現在では、逆にレアアイテムとして注目されています。

パネライに関しては、2000年代の段階からトリチウム人気が高かったため、そういったことは常識という印象ですが、ロレックスでもトリチウム人気が出たことについては「時代が変わった」という感想になります。

そのようなことを考慮すると、今後もトリチウム文字盤の個体は、他のブランドでも人気が出てきそうなところですが、今のところそういった傾向はありません。

トリチウムを使っているのは、主にスポーツモデルですが、いわゆる「やけ」が目立つようなもモデルがそこまで多くないため、あまり人気とならないのかもしれません。

ただ、トリチウムのやけを味わえるようなモデルでも、ルミノバとあまり価格が変わらないというモデルは多々あり、実際ブルガリスクーバなどがそれに該当します。

そして、今回お伝えするパシャC黒文字盤もまさにその例だといえるのですが、現在トリチウム個体でもルミノバとほぼ変わらない価格帯で購入可能となっています。

また、値動きの観点でも3年前と比べてほぼ変わっておらず、割高感が無い時計が欲しいというニーズにはとても良い1本だと感じます。

本記事で参考とした中古腕時計

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本記事の価格比較

腕時計 状態 期間 2017年9月
の安値
2020年9月
の安値
変動額 残価率
カルティエ
パシャC
W31043M7
中古 3年
0ヶ月
¥148,000 ¥140,800 -7,200 95.14%

この3年間において、パシャCの相場はあまり変動していないため、そこまで大きなニュースが無いと思ってしまいますが、実は1つ変化が起きた点があります。

それは、程度の悪い個体の売出しが減ったということなのですが、現在パシャCのボトム価格の多くは、それほど程度が悪くないのです。

かつてであれば、ボトム価格は程度が悪いため、「ABランク以上」と注釈をあえてつけていたのですが、現在パシャCの多くでボトム価格がABランク以上という状態です。

この世代のパシャCも、今やヤングクラシックという印象となってきており、不思議な魅力を放っているといえます。

10万円台半ばという価格帯で購入可能であるため、あえてこの世代のパシャをコレクションするというのもの腕時計の楽しみ方としておおいにありだと思います。

この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
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