腕時計投資新聞

腕時計の[買う・使う・売る]すべてを楽しむ専門サイト「腕時計投資ドットコム」
現在相場考察

ようやく2016年6月水準を上回った、ワールドタイム 5110P

2020年12月11日更新
パテックフィリップのワールドタイムについて斉藤由貴生が執筆。本記事では2020年6月の安値と2020年12月の安値を比較し現在相場を考察。この0年6ヶ月での変動は¥460,000だった。

ワールドタイム 5110P-001についての考察(2020年12月)

2000年に5110として復活を遂げたワールドタイム

5110登場以降、ワールドタイムは途切れることなくコンプリケーションモデルとしてラインナップされ続けているため、今では「レア」という印象がないかもしれません。

しかしながら、5110登場前の時代においての「ワールドタイム」は幻のパテックフィリップという印象。

1950年代などに少量生産された個体などがあるという程度で、常に作られていたわけではなかったのです。

ちなみに、かつてワールドタイムが腕時計として史上最高値をつけたことがニュースとなりました。

そういった時代において、現行モデルだった5110は、なにかと注目度の高い1本だったわけです。

まして、最も高級なPtモデルの5110Pには、青文字盤という専用文字盤が用意されていたわけで、「憧れ腕時計の最高峰」といったところだったといえます。

けれども、そんな5110Pは、今のトレンドにおいて、そこまで高い注目度となっていない様子があります。

というのも、この5年ぐらいの相場を見ると、2016年から4年にわたって「ほぼ変わっていない」状況だったからです。

5110Pは、2016年6月に378万円という水準でしたが、2019年1月でも378万円というボトム価格。全く同じ価格だったわけです。

そして、2020年6月にはボトム価格が350万円へと変化。2016年から4年ぶりに値動きしたかと思ったら、その動きは「28万円の値下がり」という結果となってしまったのです。

しかし、5110Pは今、6月とは真反対な動きになっている様子があります。

現在、5110P396万円という水準に変化。これは6月水準よりも46万円高いわけですが、この事によって、ようやく2016年6月水準を上回ったわけです。

本記事で参考とした中古腕時計

※広告が含まれる場合があります
アーカイブ付 パテックフィリップ ワールドタイム 5110P-001 PT/WG/革 メンズ 自動巻 腕時計

本記事の価格比較

腕時計 状態 期間 2020年6月
の安値
2020年12月
の安値
変動額 残価率
パテックフィリップ
ワールドタイム
5110P-001
中古 0年
6ヶ月
¥3,500,000 ¥3,960,000 460,000 113.14%

以前にもお伝えしたように、2016年と2019年では、多くの腕時計の相場が違うわけで、値上がりした結果、2016年水準を見ると「驚くほど安い」という感覚になるモデルが珍しくありません。

この5110Pは、2016年6月まではそれなりに動いていたわけで、2016年時点において、それ以前の水準を見ると「安い」と感じられました。ですから、「2019年の段階でも、2016年水準が安かった」と感じても不思議でない存在だといえます。

それが、5110Pは、2016年水準と2019年水準が全く変わっていなかったわけですから、それまでのキャラクター性を考慮すると「かなり意外な相場」だったといえます。

実際、2016年の段階ではノーチラス5711/1Aよりも遥かに高かったわけですが、値動きしなかった結果、5711/1Aよりも“安い”のはもちろん、3800/1Aよりも安いという価格序列になってしまったわけです。

なお、今回5110Pは、やっと2016年水準を超えたという様子ですが、現在水準は価格序列的には、ノーチラス3800/1Aと同等といったところです。

この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
本コンテンツには、主観的評価、見解、想定における情報が含まれています。運営者及びコンテンツ提供者は、コンテンツ内容の正確性、確実性、完全性における保証を行いません。また、コンテンツ内容にかかわる損害・トラブル等に関する一切の責任を負いません。本サイトに記載されている情報は、特に断り書きがない限り、更新日時点での情報に基づいています。