パテックフィリップ、オーデマピゲ、ヴァシュロンコンスタンタンは、三大時計や雲上時計と呼ばれるブランドですが、最も「キャラクターが分かりづらい」のがヴァシュロンコンスタンタンだといえます。
ヴァシュロンコンスタンタンの代表的なモデルはオーバーシーズだといえますが、222の流れを組むとはいえ、デビューは1996年。比較的新しいモデルであるのですが、世代ごとにキャラクターが変わる印象もあり、「これぞヴァシュロン!」というような強いキャラクターイメージが分かりづらいといえます。
では、ヴァシュロンでしか存在し得ないという要素は、どのあたりのモデルにあるのかといわれたら、筆者としては2000年前後といった時代にラインナップされていた「変なモデル」であると思うのです。
この「変なモデル」というのはもちろん褒め言葉で、他のブランドでは出さないような見た目が特徴的。
特にこのサルタレーロはその代表的な存在だと思うのですが、『レトログラード+ジャンピングアワー』という仕掛けで、時・分といった単純な内容を複雑機構でシンプルに示すという矛盾が面白い1本です。
その見た目は一見独特であるものの、雲上らしい高級さを感じさせるバランスでまとまっており、なにかと魅力的なモデルだといえます。
ただ、このサルタレーロを含め、この時代の「クレイジーなヴァシュロン」はいずれも限定モデルという傾向。サルタレーロについてはその限定数が200本と少ないわけで、中古を見かけるのも年に1本かそれ以下という頻度であるのです。
ちなみに、この200本は、実は各素材ごとの限定数。サルタレーロには、このYGの他にWGとRGがありますが、各200本の限定ですから、全部で600本はあるということになります。
そんなバリエーションにおいて、YGとWGが白文字盤であるのに対し、RGはピンク文字盤となることから、英語圏の情報を見る限りではRGが最も人気という傾向があるようです。
ただ、筆者としてはRGも良いと思う反面、昔からこのYGの色合いが好きで、相場を積極的に追っているのです。
久々に登場した現在水準はどうなっているかというと、約259万円という状況ですが、これは2017年5月時点と比べて約45万円の上昇といったところ。
あまり有名なモデルではありませんが、それなりに値上がりしたといえるでしょう。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年5月 の安値 |
2021年1月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
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ロレックス
サルタレーロ 43041/000J |
中古 | 3年 8ヶ月 |
¥2,138,400 | ¥2,598,000 | 459,600 | 121.49% |
この時代のヴァシュロンの限定モデルは、「いかにもヴァシュロンらしい」とか、「ヴァシュロンならでは」といったようにヴァシュロンコンスタンタンでしか見ることのできない際立った個性が光っていたといえます。
しかしながら、それら多くは限定モデルとして登場したため、モデル名自体の知名度が高くないわけです。
ですから、傑作があったとしても、パテックフィリップやオーデマピゲなどと比較して、それほど派手な上昇とはならない傾向があるのですが、コレクター目線としてはかなり興味深い存在だといえるかと思います。