2000年代前半において、ロレックスの売れ筋価格帯は30万円台だったといえますが、それ以上に高い価格帯だったブランドは、「超高級」というイメージだったといえます。
そういったブランドの中でも、「ブレスレット・ステンレス」という内容のモデルは、ロレックスに近い内容だったため、ロレックスユーザーから理解しやすい腕時計だったといえます。
ただ、その価格帯は50万円台といったところだったため、「随分高い腕時計」といった感覚があったといえるでしょう。
その価格帯に該当するのは、ロイヤルオークの14790や、オーバーシーズの42042などだったわけですが、それと同じ水準だったのがこのブレゲのアエロナバルとトランスアトランティックです。
これら両者には、革ベルト、ブレスレットなどのバリエーションがありますが、50万円以上だったのはブレスレットモデル。アエロナバルとトランスアトランティックの違いは、デイトの有無で、デイトが無いほうがアエロナバルであります。
ちなみに、このアエロナバルの「タイプXX」は1995年にデビューしたのですが、2004年にはこれよりも近代的な見た目の「タイプXXI」が登場。けれども、タイプXXはその際生産終了とはならず、つい最近まで現行モデルとして君臨し続けていたのです。
このタイプXXというモデルは、2000年前後といった時代に人気があったという印象がありますが、タイプXXI登場後も現行だったということを知らない方はそれなりにいるのではないでしょうか。
このような商品構成は、ユーザーからすると分かりづらいといえ、結局のところ、このアエロナバル3800ST/92/SW9の中古相場は、ここ数年において、2000年頃のイメージからするとあまり高くないといった水準が続いています。
特にこの5年ぐらいは、ブランパンのエアコマンドと同水準といった印象だったわけですが、エアコマンドは2019年に50万円台⇒60万円台、2021年には70万円台となっているのです。
その一方で、このアエロナバル3800ST/92/SW9の現在水準は2017年7月とほぼ同じといった様子。2017年の記事で、このタイプXXが生産終了になったら評価が変わるのではないか、と考察しましたが、2018年に生産終了となってから現在にかけて、特に評価が変わるということはなかったようです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年7月 の安値 |
2021年3月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ブレゲ
アエロナバル 3800ST/92/SW9 |
中古 | 3年 8ヶ月 |
¥523,800 | ¥528,000 | 4,200 | 100.80% |
このアエロナバル、2017年と相場がほぼ変わっていないため、2017年時点よりも相対的に安くなっているという感覚があります。
2017年時点では、先のようにエアコマンドと同水準だったわけですが、今ではエアコマンドは70万円台。方や、このアエロナバルは50万円台ですから、価格帯が違うモデルといった印象になります。
また、2017年時点では、当時のスポーツロレックス最安値だったエクスプローラーの114270などよりも、このアエロナバルのほうが高い水準だったのですが、現在では114270は60万円台に到達。このアエロナバルは、現在50万円台ですから、今では、スポーツロレックス最安値よりも安価といった立ち位置になっているわけです。
さらに、このアエロナバル、2010年水準は約45万円だったわけで、現在水準はそれと7万円ほどしか変わっていないわけです。
2010年といえば、多くの腕時計が安い時期でしたが、そういった時代に45万円だったのがこのアエロナバルであるわけです。当時の5桁SSスポロレは、デイトナを除くといずれも40万円以下といった水準だったため、2010年という時代でもアエロナバルはSSスポロレよりも高い価格帯に位置していたわけです。
しかし、全体的にロレックスが高くなった2013年以降、このアエロナバルはあまり値動きすることがなく、結局現在でも、2010年水準から7万円ほどの上昇という値動きにとどまっている状態です。
その結果、今やアエロナバルの立ち位置は、SSスポロレ最安値よりも安いといった序列になってしまったわけで、随分お得感がある状態だといえます。
見た目の格好良さや、ブレゲというブランドのスポーツモデルであるということから、このアエロナバルは、人気要素が多いと思うわけですが、そうでありながら2010年水準と大きな変化がありません。近頃、多くの腕時計が値上がりしたからお得感がないと思っている方にとって、このアエロナバルという存在は貴重な1本だといえるのではないでしょうか。