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現在相場考察

これまでの高級腕時計の値動きで最も派手といえる、デイトナ116506A

2021年4月3日更新
ロレックスのデイトナ116506Aについて斉藤由貴生が執筆。本記事では2020年8月の安値と2021年4月の安値を比較し現在相場を考察。この0年8ヶ月での変動は¥6,046,000だった。

デイトナ 116506Aについての考察(2021年4月)

「憧れ腕時計」としての価格帯は、数年前まで高くても500万円程度といった感覚があり、それよりも高い価格帯となると、「自分には関係ない」と思われていたように感じます。

実際、そのような時期においては、例えば、人気要素を持つ700万円台の腕時計があったとしても、あまり活発に値動きすることはなく、正規店でも在庫が店頭にある状態だったわけです。

それこそが、まさにこのデイトナ116506Aだったわけですが、これには、

  • アイスブルー文字盤
  • プラチナのデイトナ
  • という人気要素が含まれているわけですが、今から4年前、すなわち2017年春頃の段階では、今ほど大きく動いていませんでした。

    実際、そのころ筆者は、ロレックス正規店にて、この116506Aが実際に販売されている様子を目にしたのですが、「人気要素があるデイトナだが、このような価格帯ではやはり“入手困難”といったことにならないのか」思ったわけです。

    しかし、そんな116506Aは、2018年からそれまでとは打って変わった様子へと変化します。

    最初に目立った変化となったのが、2018年10月の中古相場なのですが、その際116506A約800万円という中古ボトム価格に到達。2015年10月時点の新品実勢価格(安い順の3社平均値)が728万円だったわけですから、「デビュー時期の新品実勢価格よりも、その後の中古相場のほうが高い」という状況になったわけです。

    新品実勢価格の時点で700万円台という価格帯の腕時計がこのような値動きとなるのは、この116506Aが初めてだといえたため、まさに「革命児のような存在」と表現できました。

    また、それと同時に、このとき「憧れ腕時計」の価格帯が800万円台にまで到達したということになるでしょう。

    その後も116506Aは日を追うごとに値上がりし、「憧れ腕時計」の価格帯をどんどんと上昇させていきます。

    そして、2020年8月には、ついに1000万円以上という水準にまで到達。今では、1000万円以上という水準の人気モデルは、この116506Aの他にも、116506ノーチラス5711/1A-010などがあるため、「珍しい」という印象ではなくなっているかもしれませんが、8月時点では「びっくり」という感覚でした。

    そんな116506Aですが、2020年8月以降は不思議と中古売出し数が減ってしまったため、その相場を把握するのが困難となってしまいます。

    そして、今回久々に116506Aが複数個売り出されている状況となっているのですが、その相場は2020年8月とは随分異なる様子となっているのです。

    ではどのような状況かというと、現在ボトム価格はなんと1650万円という状況。2020年8月水準が約1045万円だったわけですから、8ヶ月で600万円以上もの値動きをしたということになるのです。

    このような動きは、これまでの高級腕時計の値動きで最も派手といって差し支えないように感じます。

    本記事で参考とした中古腕時計

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    ロレックス ROLEX デイトナ 116506A アイスブルー文字盤 中古 腕時計 メンズ

    本記事の価格比較

    腕時計 状態 期間 2020年8月
    の安値
    2021年4月
    の安値
    変動額 残価率
    ロレックス
    デイトナ
    116506A
    中古 0年
    8ヶ月
    ¥10,454,000 ¥16,500,000 6,046,000 157.83%

    これまでにも『数百万円単位の上昇』という値動きはなかったわけではありませんが、今回のように「8ヶ月」という短期間でそういった動きをしたということは見たことがありません。

    例えば、ノーチラス5980/1A-014は、2018年4月⇒2019年6月で602万円の上昇という値動きとなっていましたが、これには1年以上がかかっています。

    また、今回の116506Aのように「数百万円単位の上昇」という値動きをする腕時計は、これまでデイトナポールニューマンのような特殊なモデルといった傾向が多かったといえるため、必ずしも「分かりやすい動き」とはいえなかった側面があるのです。

    それに対して、今回のデイトナ116506Aは、現行モデル、なおかつ“仕様違いによる相場差”があるというわけではないため、いわゆる『相場が分かりやすいモデル』だといえます。

    そのような116506Aが、「8ヶ月で600万円以上もの値動き」という値動きをしたということは、また時代が変わったという印象になります。

    これまで、『数ヶ月で数十万円』『数ヶ月で百万円』という値動きはを見た際に「驚く」という感覚がありましたが、もはやそういった値動きは驚くに値しないように感じられてしまうかもしれません。

    この記事の執筆者
    斉藤由貴生
    腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
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