パネライがリシュモン時代となったのが1997年で、A番(製造年)の登場が1998年であるわけですが、それから2000年頃までが「ブーム前」といえる時代だと思います。
その頃、パネライの認知度は高くなく、腕時計に詳しい層にも「知られていない」という様子だったといえます。
そういった時期において、パネライがとった戦略は、どうやら「ブレスレット推し」ということだったようで、当時最もプッシュされていたのが、PAM00050といった40mmのブレスレットモデルでした。
この50番は、「ブレスレット、高い防水性能、黒文字盤」という点がスポーツロレックスに近いといえるわけですが、実際「ロレックスの次」という選択肢として、2000年頃から徐々に“時計に詳しい層”に認知されていったように思います。
そして、2001年頃に50番は、定価よりも新品実勢価格のほうが高いということになっていたわけですから、パネライの戦略は正しかったといえます。
さて、この頃までのパネライのラインナップを復習すると、高級順に「ラジオミール⇒40mm⇒手巻き44mm」となっていました。
44mmは決して「安価なラインナップ」というわけではなく、どちらかというとオリジナルの原型を残したモデルという感覚だったわけで、“ブレスレット”という要素は与えられていなかったのです。
ですから、ブレスレットという選択肢は、2000年まで40mmにしか存在していませんでした。
しかし、50番の評判が良かったとなると、ブレスレットのラインナップを拡大するという方向性になるでしょう。
そして、2001年に44mmにもブレスレットモデルが登場したわけですが、その際登場したのが、このPAM00091であります。
91番には自動巻ムーブメントやデイト表示が与えられたわけですが、この時までこういった要素は「40mmのもの」という感覚でした。
ですから、91番は2001年当時、「それまでのルールを破った新世代のパネライ」という印象だったといえます。
ちなみに、この際サブマーシブルにもブレスレットモデルが登場していたわけですが、これらには「チタンケース」と「青文字盤」が採用されたという点が共通。また、2001年に登場して、翌年2002年を持って生産終了となったという点も同様です。
なぜ、短期間で生産終了かというと、2002年という年にパネライがブームといえる状況になったことが関連するかと思います。
その時、人気になったパネライが「手巻き、革ベルト」という要素だったため、「自動巻、ブレスレット」というように、当時の人気とは真反対の要素である91番は、早々に生産終了となったのだと推測できます。
また、この時期存在した「青文字盤+サテン」という要素も不人気だったわけで、それも生産終了の要因だといえるでしょう。
しかしながら、この「青文字盤+サテン」は近年では評価されており、実際この91番と生産年が同じ69番は、数年前から“相対的に高い”という状況。現在でも約58万円という水準となっています。
それに対して、この44mmの91番は、なんと約48万円という水準で購入可能。2017年1月水準と比較しても、若干の値下がりというように、あまり評価されていない様子があるのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年1月 の安値 |
2021年5月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
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オフィチーネパネライ
ルミノールマリーナ PAM00091 |
中古 | 4年 4ヶ月 |
¥518,400 | ¥488,000 | -30,400 | 94.14% |
同じ「青文字盤+サテン」という要素である69番は、2018年10月に約59万円となって以降、『値下がり⇒回復』という様子であるため、2年半ほど目立った変化をしていないという感覚があるでしょう。
とはいっても、2017年1月頃の69番水準は40万円台中盤といった状況だったわけですから、2017年水準と比べると「値上がりしている」ということになります。
その一方で、この51番は2017年1月に約51万円だったのが、今では約48万円という状況。69番とは異なり、値上がりすることはなく、むしろ値下がりいているという様子なのです。