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現在相場考察

2017年から2019年頃とは異なる様子、GMTマスター青赤ベゼル16700

2021年6月25日更新
ロレックスのGMTマスター16700について斉藤由貴生が執筆。本記事では2020年6月の安値と2021年6月の安値を比較し現在相場を考察。この1年0ヶ月での変動は¥104,680だった。

GMTマスター 青赤ベゼル 16700についての考察(2021年6月)

GMTマスターといえば「GMTマスター2」というイメージが強いですが、それもそのはず「GMTマスター」は1999年をもってシリーズ廃止となったからです。

その「GMTマスター」の最後のモデルこそ、この16700なのですが2016年頃までは同世代の「II」よりも安価、つまり16710よりも安めという傾向がありました。

ちなみに、GMTマスター2といえば、SSの他にYGやコンビがあるというイメージですが、「II」と併売されていた時代、特に5桁世代の「GMTマスター」にはSSしかなかった模様。なぜそうだったかというと、この「GMTマスター」は、「II」の廉価版といった役割があったからでしょう。

「II」はGMT針を竜頭で調整できるのに、「I」は竜頭での調整は不可。ベゼルを回して「第二の時刻」を読み取るという機能しかありません。

そういったイメージが影響してか、2016年頃まで、この「GMTマスター」は「II」よりも安いという傾向があったのでしょう。

けれども、この「GMTマスター(1)」は、そういった“廉価”という文脈では収まらない存在感だといえます。

1956年にデビューした初代の系譜、なおかつ「青赤ベゼル」の元祖こそ、このGMTマスターであるわけで、「II」のメインカラーは本来「黒赤」だといえます。

そして、その最終モデルである16700は、

  • 16710と見た目がそっくりなのに併売されていた
  • 最終が99年でルミノバ世代
  • という点が面白く、生産終了後20年以上経過した今においては、「尖ったモデル」という印象になります。

    そして、そういったことに市場が気づいたのか、この16700は、2017年頃から中古相場が評価されるようになります。

    2016年9月の中古ボトム価格(青赤)は、約65万円だったのですが、2019年9月には108万円になっていました。

    ですから、2016年⇒2019年の3年間では「だいぶ評価が変わった」というように、派手な値動きをしていたといえます。

    しかし、その後、この16700は、「それまでの勢いはどこへやら」といった感覚に変化。

    もちろん、2019年夏から約1年に渡って断続的な下落トレンドがあったわけで、その間において「変動がなかった」というのは仕方がありません。

    ただ、それを考慮しても、この16700のここのところの値動きは、2017年⇒2019年とは異なる様子だといえます。

    本記事で参考とした中古腕時計

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    本記事の価格比較

    腕時計 状態 期間 2020年6月
    の安値
    2021年6月
    の安値
    変動額 残価率
    ロレックス
    GMTマスター
    青赤ベゼル
    16700
    中古 1年
    0ヶ月
    ¥1,060,000 ¥1,164,680 104,680 109.88%

    この16700青赤ベゼルをお伝えするのは1年ぶりなのですが、1年前水準はどうだったかというと、106万円というボトム価格であります。

    それに対して、現在の様子は約116万円。この1年間での値動きは「約10万円の上昇」であるわけですが、やはりこれは2017年から2019年までの値動きと比べて“地味”という印象になります。

    まして、最近では多くのモデルが値動きした結果、「かつて110万円台には程遠かった」というモデルが続々110万円台に到達。例えば、ミルガウス116400白文字盤はそれに該当するわけですが、この16700がすでに100万円以上になっていた2019年9月において、116400約70万円だったのです。

    ですから、2019年9月時点で16700(青赤)に対して30万円以上の差をつけられていたミルガウス116400(白)は、今や16700追いついてしまったということになります。

    また、今回この個体は「青赤のボトム価格(ABランク以上)」として紹介しているのですが、実はこの個体「A番」であります。

    このA番こそ、16700の最終品番であるわけで、一時は「A番」ということが評価されていました。

    実際、A番の青赤ベゼルは、

  • 2019年4月水準 約120万円
  • 2020年9月水準 125万円
  • となっていたわけですから、「A番」という評価では現在水準は値下がりということになります。

    今となっては「A番」という要素を備えていても、それがボトム価格となっている状態であるわけですが、このようなことは、2016年頃までにもよく見られました。

    今回、2016年頃までのようなことがが再び起こったというのは、16700に対する注目度が2017年、2019年頃よりも低くなっているのではないかと思います。

    そういった意味では、今の様子をチャンスととることもできるわけですが、今後「再注目」となれば「あのとき買っておけば良かった」となるかもしれません。

    この記事の執筆者
    斉藤由貴生
    腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
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