GMTマスターといえば「GMTマスター2」というイメージが強いですが、それもそのはず「GMTマスター」は1999年をもってシリーズ廃止となったからです。
その「GMTマスター」の最後のモデルこそ、この16700なのですが2016年頃までは同世代の「II」よりも安価、つまり16710よりも安めという傾向がありました。
ちなみに、GMTマスター2といえば、SSの他にYGやコンビがあるというイメージですが、「II」と併売されていた時代、特に5桁世代の「GMTマスター」にはSSしかなかった模様。なぜそうだったかというと、この「GMTマスター」は、「II」の廉価版といった役割があったからでしょう。
「II」はGMT針を竜頭で調整できるのに、「I」は竜頭での調整は不可。ベゼルを回して「第二の時刻」を読み取るという機能しかありません。
そういったイメージが影響してか、2016年頃まで、この「GMTマスター」は「II」よりも安いという傾向があったのでしょう。
けれども、この「GMTマスター(1)」は、そういった“廉価”という文脈では収まらない存在感だといえます。
1956年にデビューした初代の系譜、なおかつ「青赤ベゼル」の元祖こそ、このGMTマスターであるわけで、「II」のメインカラーは本来「黒赤」だといえます。
そして、その最終モデルである16700は、
という点が面白く、生産終了後20年以上経過した今においては、「尖ったモデル」という印象になります。
そして、そういったことに市場が気づいたのか、この16700は、2017年頃から中古相場が評価されるようになります。
2016年9月の中古ボトム価格(青赤)は、約65万円だったのですが、2019年9月には108万円になっていました。
ですから、2016年⇒2019年の3年間では「だいぶ評価が変わった」というように、派手な値動きをしていたといえます。
しかし、その後、この16700は、「それまでの勢いはどこへやら」といった感覚に変化。
もちろん、2019年夏から約1年に渡って断続的な下落トレンドがあったわけで、その間において「変動がなかった」というのは仕方がありません。
ただ、それを考慮しても、この16700のここのところの値動きは、2017年⇒2019年とは異なる様子だといえます。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2020年6月 の安値 |
2021年6月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ロレックス
GMTマスター 青赤ベゼル 16700 |
中古 | 1年 0ヶ月 |
¥1,060,000 | ¥1,164,680 | 104,680 | 109.88% |
この16700青赤ベゼルをお伝えするのは1年ぶりなのですが、1年前水準はどうだったかというと、106万円というボトム価格であります。
それに対して、現在の様子は約116万円。この1年間での値動きは「約10万円の上昇」であるわけですが、やはりこれは2017年から2019年までの値動きと比べて“地味”という印象になります。
まして、最近では多くのモデルが値動きした結果、「かつて110万円台には程遠かった」というモデルが続々110万円台に到達。例えば、ミルガウス116400白文字盤はそれに該当するわけですが、この16700がすでに100万円以上になっていた2019年9月において、116400は約70万円だったのです。
ですから、2019年9月時点で16700(青赤)に対して30万円以上の差をつけられていたミルガウス116400(白)は、今や16700に追いついてしまったということになります。
また、今回この個体は「青赤のボトム価格(ABランク以上)」として紹介しているのですが、実はこの個体「A番」であります。
このA番こそ、16700の最終品番であるわけで、一時は「A番」ということが評価されていました。
実際、A番の青赤ベゼルは、
となっていたわけですから、「A番」という評価では現在水準は値下がりということになります。
今となっては「A番」という要素を備えていても、それがボトム価格となっている状態であるわけですが、このようなことは、2016年頃までにもよく見られました。
今回、2016年頃までのようなことがが再び起こったというのは、16700に対する注目度が2017年、2019年頃よりも低くなっているのではないかと思います。
そういった意味では、今の様子をチャンスととることもできるわけですが、今後「再注目」となれば「あのとき買っておけば良かった」となるかもしれません。