ノーチラス人気が出たのは、2005年頃からだといえますが、今のような「デイトナ並のポジション」という状況になったのは2017年以降だといえます。
ですから、2017年よりも前の時代においては、ノーチラスよりも存在感があるモデルがそれなりに存在。特に、コンプリケーションといった複雑機構が人気という傾向がありました。
中でも、この5960/1A-001は、ノーチラスが大人気となるまで、注目度の高いパテックフィリップという印象で、一定の時計ファンからとても高い評価を得ていたように感じます。
また、2015年5月における新品実勢価格(3社平均値)は約587万円という様子だったわけですが、当時ノーチラス5711/1A-010は新品でも300万円台で購入可能という状況だったため、5960/1A-001のほうが“偉い”といった感覚だったといえます。
しかしながら、ご存知のようにノーチラスは2017年以降、目立った上昇をするように変化。年々上昇した結果、価格ステージが『300万円台⇒400万円台⇒500万円台・・・今では1000万円以上』というように変わっていったわけです。
その一方で、この5960/1A-001については、2017年以降という時代において値下がり傾向となっていました。
2019年1月の中古水準は516万円だったのに対し、2020年1月は約486万円、2020年6月水準は約437万円だったわけで、下落傾向が続くという様子だったわけです。
そのため、この5960/1A-001は、ここのところあまり注目度が高くない様子だったと感じられ、以前より、この5960/1A-001の存在を知る人もなんとなく少なくなったという気がしていました。
ですから、5960/1A-001はなにかと値上がり難易度が高いのではないかと思われても不思議ではない存在だったとなるでしょう。
しかし今、そんな5960/1A-001が、なかなかインパクトのある値動きをしているのです。
現在の中古ボトム価格は、なんと638万円という様子なのですが、これは2015年5月の新品実勢価格よりも高いという状況であります。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2020年6月 の安値 |
2021年8月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
年次カレンダー クロノグラフ 5960/1A-001 |
中古 | 1年 2ヶ月 |
¥4,378,000 | ¥6,380,000 | 2,002,000 | 145.73% |
5960/1A-001は2020年6月に約437万円だったわけですが、今では638万円。ですから、2020年6月⇒2021年8月の1年2ヶ月での変動は、約200万円の上昇となります。
こういった値動きは、ステンレスのパテックフィリップらしい値動きといえるわけですが、2017年以降における5960/1A-001の様子からすると「びっくり」ということになります。
なぜ、今の時期においてこの5960/1A-001が値上がりしたかは分かりませんが、今年2021年という年は、こういった長らく上昇傾向が見られなかったモデルも上昇するという事例がそれなりに見られます。