2000年前後に現行だった世代のパシャ38mmで最も後に登場したのが、この“新グリッド”のW31059H3だったといえます。
この世代のパシャ38mmには2001年頃に黒文字盤のN950が追加。それが最も新しいという印象があるわけですが、実はそれよりも、この“新グリッド”のほうが後に登場したのです。
実際、N950にもグリッドモデルがありますが、そちらが登場した際は、旧グリッドが装着されていたのです。
旧グリッドと、新グリッドの差は、「立体的か否か」。新グリッドが「立体的なグリッド」となっているのです。
これは、当時のパネライから始まった「デカ厚」というトレンドに即したものだったといえますが、出たときから、腕時計ファンには好印象だったといえます。
グリッドモデルは、パシャ38mmの中で最も人気という傾向だったかと思いますが、新グリッドは更に人気といった感覚です。
そういったことは、今の中古相場を見てもわかるのですが、新グリッドモデルは、3針であるにも関わらず、クロノグラフ並かそれ以上の水準となっているのです。
ただ、そうはいっても新グリッドモデルの中古相場は、2018年以降値下がり気味といったところでした。
このW31059H3、2017年11月水準は約37万円だったのですが、2018年9月に約31万円に下落。それ以降は、30万円台前半といった水準が続いていたのです。
そして、このW31059H3、実は2010年水準も約37万円という状態だったのです。
2010年といえば、リーマンショック後の全体的に安い時代という印象がありますが、そういった状況の中、パシャ38mmはこの新グリッドに限らず、クロノグラフなども30万円台後半といった水準だったわけです。
ですから、2018年以降のW31059H3水準は、2010年よりも安いという状況だったといえます。
しかし、W31059H3の今の様子を見ると、見事に「回復⇒上昇」となっているのです。
現在、このW31059H3は、約39万円というボトム価格。これは、2010年12月や2017年11月水準を上回っているわけで、久々の上昇という状況であるのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2018年9月 の安値 |
2021年9月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
カルティエ
パシャ38mm W31059H3 |
中古 | 3年 0ヶ月 |
¥312,900 | ¥396,000 | 83,100 | 126.56% |
パシャといえば、このところパシャCが目立って上昇という傾向がありますが、パシャ38mmにおいては、そこまでの変化となっているモデルはあまり目立ちません。
そういった中、この新グリッドは、今回、2010年、2017年を上回る状況となっているため、「パシャC並な変化」が起こったともいえるでしょう。
とはいうものの、「パシャC並の変化」というためには、リーマン後の水準を“それなりに上回っている”となる必要があります。
パシャCの例だと、『リーマン前=20万円前後(18万円ぐらいで安いという感覚)⇒リーマン後=13万円程度⇒ここ数年=15万円前後』といった状況だったのが、今年になってから『20万円以上』となったわけです。
そういった意味では、「パシャC並の変化」となるためには、リーマン前を凌ぐ水準となる必要があるわけですが、約39万円という現在水準はリーマン後よりも“やや高い”といったところであります。