5960系統は、パテックファンから評価が高いモデルだといえますが、2006年のデビュー時は、プラチナモデルのみ展開。「年次カレンダー+自社製クロノグラフ」という内容ですから、プラチナモデルのみというのは当たり前だったといえます。
その後、2009年にはRGも登場するのですが、こういった展開はクロノメトロゴンドーロと同様。特別感のあるモデルらしい展開方法だったといえます。
そこまでは、通常の流れだったといえるのですが、2014年、なんと5960にステンレスブレスレット版が登場。
これは意外な出来事だったため、多くの時計ファンがびっくりしたわけです。
そういった経緯があったため、この5960/1A-001は、デビュー時から目立つモデルだったといえるわけですが、そういった事情とは逆に、中古相場の伸びはこれまで強くありませんでした。
5960/1A-001は、2015年5月において約587万円という新品実勢価格(安い順の3社平均値)だったのですが、2019年1月の中古相場は516万円。その後は更に下落し、2020年1月水準が約468万円、同年6月には約437万円といった状態になっていました。
そんな5960/1A-001でしたが、2021年8月になると大きな変化が生じます。
その際、5960/1A-001は638万円という水準に上昇したのですが、2015年から2020年頃までの水準からすると“明らかに高くなった”といえる様子になっていたわけです。
そして、それから1年後の今、5960/1A-001は更に上昇している様子。
現在水準は、約870万円となっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2021年8月 の安値 |
2022年8月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
年次カレンダー クロノグラフ 5960/1A-001 |
中古 | 1年 0ヶ月 |
¥6,380,000 | ¥8,701,440 | 2,321,440 | 136.39% |
5960/1A-001の約870万円という現在水準は、デビュー時の注目度からすると「これぐらい評価されて不思議ではない」といった感覚になるわけですが、なぜ、2021年ぐらいまで、あまり高い評価となっていなかったのかが気になります。
ちなみに、この5960/1A-001の約870万円という水準は、“どのぐらい凄い”のかというと、なんと5960P-001と同水準程度といった状態であるのです。
いくらステンレスが人気とはいえ、パテックフィリップのプラチナモデルには特別感があるため、プラチナ相場はSSより上というのが通例といえます。
しかし、現在5960/1A-001のボトム価格が約870万円であるのに対し、5960P-001のそれは約785万円。ただ、5960P-001の2番目に安価な個体は約883万円であるため、5960/1A-001は“プラチナモデルと同水準”といったところだといえます。
プラチナと同水準といった状態の5960/1A-001は今、かなり高い評価を受けているといえるでしょう。