「初代」というのは重要だと思われる一方、モデルによっては「初代が地味」という場合があります。
その例が、まさにアクアノートであるわけですが、初代である5060A-001は、5066Aとほぼ見た目の区別がつかず、「初代」ということを感じさせない“地味さ”があるといえます。
アクアノートの第1世代は、5066と5065といった印象がありますが、厳密にはそれらはバージョン1.1だといえ、実際のバージョン1.0(初代)は5060A-001といえます。
とはいえ、5060A-001を初代とするのは、必ずしも正解とはいえない側面もあるのが難しいところ。
5060A-001は1997年に「アクアノート」としてデビューしましたが、その前年である1996年に、5060Jが「ノーチラスの一種」として登場しているのです。
5060Jは、5060A-001登場後に「アクアノート」と改められたようですが、実はこの初代アクアノートである、5060A-001にも「ノーチラスの面影」が存在。それが、バックル部分の表記なのですが、この記事の個体含め「NAUTILUS」と書いてあるわけです。
つまり、5060A-001は当初「アクアノート」という独立したシリーズではなく、5060Jと同じく、ノーチラスの新種としてデビューする予定だったと思われるわけですが、そういった「混乱の軌跡」がこの5060A-001にあるのが、最大の魅力だと思います。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2020年5月 の安値 |
2023年1月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
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パテックフィリップ
アクアノート 5060A-001 |
中古 | 2年 8ヶ月 |
¥1,980,000 | ¥5,128,000 | 3,148,000 | 258.99% |
今でこそ、こういった面白さが5060A-001にあると認知できるわけですが、かつては「裏スケでないことや、ブレスレット版がない」ということから、機械式アクアノートとして5060A-001は最も不人気な存在でした。
では、現在の評価はどうなっているかというと、
というように、やや評価されている様子となっています。
ちなみに、5066Aよりも5066/1Aのほうが安価となっているわけですが、「ブレスレットよりもラバーベルト版のほうが高い」という現象は最近アクアノートでよく見られる光景であります。
5060A-001は、5066A-001と比べても約34万円高という状態であるため、「ラバーベルトだから高い」というだけでなく、「初代への評価」がそれなりにされているといえるわけですが、こういった価格序列は2019年から変わっていないという側面もあります。
筆者としては、5060A-001は5065Aよりも高い評価になっても不思議ではないと思っているため、現在の状態では、まだ安価という感覚もあります。