タグホイヤーがLVMHグループ入りしたのは1999年でありますが、その影響がラインナップに色濃く反映されたのが2002年以降だといえます。
LVMH前のタグホイヤーは、S/elや6000といった「防水スポーツタイプ」のモデルがラインナップの中心で、クォーツも積極的に採用。その最後のモデルがキリウムだったといえます。
それに対して2002年以降のタグホイヤーは、ラインナップの中心がカレラとモナコに変化。また、1997年に出たばかりのキリウムは2005年頃までにシリーズ廃止となっています。
そしてLVMH前まで、カレラとモナコは、「復刻版」といった役割。カタログの掲載位置も最後の方で「ひっそりと売られていた」といえます。
ただ、その時代のカレラとモナコは、メインモデルという扱いでなかったゆえ、目の肥えた時計ファン目線では「ぐっとくる内容」だったといえます。
そして、2018年頃からLVMH前の「復刻版」世代の中古相場が上昇。2017年頃まで10万円台で売られていたカレラは、今では50万円以上となっているのです。
しかしながら、同じ世代でもモナコの評価はカレラほどとはなっておらず、現在でも、30万円台という様子。
もちろん、2018年頃よりは評価されているわけですが、かつて同じ価格帯だったカレラと比べると、あまり評価されていないという印象になるのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2018年7月 の安値 |
2023年10月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
タグホイヤー
モナコ CS2111 |
中古 | 5年 3ヶ月 |
¥228,000 | ¥327,800 | 99,800 | 143.77% |
LVMH前の時代、モナコが「復刻版」という扱いだった頃に出たモデルには、CS2110とCS2111という2つがあります。
CS2110は1998年に5000本の限定としてデビュー。CS2111は2000年に限定なしで出た経緯があります。
2017年頃まで、復刻世代のカレラとモナコはともに10万円台という水準だったわけですが、その頃は、モナコのほうが高値。CS2110が5000本限定だったため、レアという印象があったのだと思います。
しかし、今となってはカレラが50万円以上となっているのに対し、同じ世代のモナコは30万円台。なぜ、こういった差になったのかというと、オリジナル版への忠実度が影響していると感じます。
復刻世代のカレラ(1996年デビュー)は、1964年版に忠実である一方、同世代のモナコには黒文字盤が採用。オリジナルモナコといえば、青文字盤の印象が強いですが、CS2110、CS2111ともに黒文字盤となっているのです。
そして、最もオリジナルに忠実なモナコといえば、2010年代になってから登場したCAW211P.FC6356。
こちらは、長らく30万円台となっていたものの、現在では60万円台という価格帯に変化。モナコとしては最も値動きしている印象があります。
このCS2111といったLVMH前の「復刻版」時代のモナコは、これはこれで魅力的であるものの、現在の評価軸としては「オリジナルに忠実」という要素が重要なのでしょう。
そのため、CS2110やCS2111は、現在でも30万円台で購入可能という状態なのだと思います。
ちなみに、中古市場ではなぜだか限定版でないほうのCS2111のほうが出現数が少なく、2021年以降、CS2111は、年に1本出るかどうかといったぐらいの頻度となっています。