近年、同じ型番でも“フチあり”か“フチなし”かで相場が30万円ほど異なるというのがこの5513。フチというのはバーインデックスやドットの部分を指し、それまで文字盤に直接プリントされていた発光塗料がアップライド化されたというのが“フチあり”です。
フチあり化されたのは80年代のことで、同じ時期のサブマリーナデイト16800にもフチありバージョンとフチなしバージョンが存在します。この時代のロレックスってクラシカルな4桁リファレンスから近代的な5桁リファレンスへの移行期という感じ。GMTマスターやサブマリーナデイト、エクスプローラ2などは実際5桁リファレンスになりましたが、このサブマリーナノンデイトはそれまでの5513という4桁リファレンスの状態で“フチあり”という近代化が施されました。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2012年11月 の安値(ヤフオク) |
2016年10月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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ロレックス
サブマリーナ 5513 (フチあり) |
中古 | 3年 11ヶ月 |
¥350,000 | ¥667,000 | 317,000 | 190.57% |
5513フチありバージョンの現在相場は過去相場から約30万円値上がり状態の60万円台といったところですが、これより遥かに数が多くごく最近まで作られていた14060、もしくは14060Mの相場も40万円台後半といったところなので両者の価格差を比較すると、そんなにバカ高いというわけではありません。80年代中盤の“移行期”に作られたその他のスポロレの相場も、5桁リファレンスより若干高いという印象なので、その例にもれないという感じです。
5桁リファレンス時代のスポロレと比べると数が少ない80年代中盤のモデル。高級腕時計という存在の市民権が今よりかなりマニアックな存在だったというだけでなく、80年代中盤のモデルは168000や16550のようにロレックスにしては珍しい短命モデルが幾つか存在します。
よって、生産年数的にも当時の流通量を推測しても、5桁リファレンスより明らかに数が少なさそうな80年代ヴィンテージ。にも関わらず、5桁リファレンスとほぼ同額、もしくはちょっと高めという相場は、その希少性を考慮すると安いと思うのです。
確かに、フチありという存在は4桁特有のクラシカルな雰囲気とは離れている印象です。よって、フチなしバージョンの相場がフチありより30万円高いというのも自然なこと。しかし、フチありでも実際に実物を見るとその独特なクラシカルな雰囲気に対して魅力的だという印象になる人は多いと思います。
筆者は先日「女子SPA!」の取材を受けたのですが、その際聞かれたのは「女子がつけていて男性ウケする腕時計」という内容でした。
記者さんから聞いて「おっ」と思ったのは“あえて男性モノの腕時計でお願いします”ということ。
確かに、女性が男性用腕時計をしていたら高感度が高そうです。
そして、その取材を受けた数日後、電車に乗っていたらこの5513のフチありバージョンをした若い女性を発見したのです。実際その姿をみて、想像以上にぐっときました。
ということで、もしも女性がこの記事を見ていたならば、男性ウケという“別の投資”にも使えるのがこの5513の良さ。
ふとしたきっかけから、5513(フチあり)の実物を見て、写真で見る印象以上に4桁特有の雰囲気を感じ、今サブマリーナノンデイトを買うならこれがお買い得だな、と思ったのです。