近頃、目立った上昇が多い90年代カルティエでありますが、当時の高級モデルであるパシャ38mmは、どのモデルを例としても値上がり傾向だといえます。
今回取り上げるのは、3針のグリッド付きモデルであるW31040H3。パシャは、パシャ大公の「プールで使える時計がほしい」というリクエストをルーツとするモデルでありますが、グリッドはそれを象徴する存在だといえます。
風防を守るという役割を果たすグリッドは、まさにプールで使うのに最適だといえます。
それゆえ、パシャにおいて、「グリッド」という存在は重要で、パシャCのサーモンピンク文字盤とグレー文字盤には、文字盤のデザインとして「グリッド柄」が施されているほど。
ただ、実際に「グリッド」が装着されたモデルは、そこまで多くありません。
このパシャ38mmには3針、GMT、クロノグラフがありますが、グリッド付きモデルは3針にのみ用意されているのです。
ちなみに、女性向けの32mmは当時のパシャで「基本K18のみ展開」という最高級モデルでしたが、そのグリッド付きモデルを浜崎あゆみが個人的に持っていた模様。2000年頃、浜崎あゆみの人気度は凄まじかったわけですが、同じ「グリッド付きモデル」ということから、このW31040H3が「あゆモデル」などと言われていました。
そんなW31040H3でありますが、「グリッド」というパシャのアイコンを備えるだけあって、従来から中古相場は通常の3針よりも高めでした。
リーマンショック以降、パシャ38mmは下落したわけですが、『グリッドなしが約22万円程度だったならば、グリッドありは約28万円』といったような感じだったといえます。
しかしながら、2010年代後半になるとグリッドの相場は通常の3針と変わらないような相場に変化。
前回このW31040H3をお伝えしたのは2020年2月でしたが、その際は約25万円となっていたのです。
そんなW31040H3でありますが、現在水準はなんと約38万円といった状態(ABランク以上のボトム価格)。
これもまた、やはり他の90年代カルティエと同様、大きな変化となっているわけです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2020年2月 の安値 |
2024年8月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
カルティエ
パシャ38mm W31040H3 |
中古 | 4年 6ヶ月 |
¥250,800 | ¥388,000 | 137,200 | 154.70% |
2020年2月⇒現在で、W31040H3は20万円台中盤だったのが30万円台後半に上昇したわけですが、こういった変化をした一方で、変わらない部分があります。
それは、グリッドなしモデルとの相場差があまりないという点であります。
先に述べたように、従来グリッドを備えるW31040H3は、グリッドなしよりも高い価格帯に位置していた経緯があります。
そういったことを考えると、W31040H3は、グリッドなしモデルと比べると、伸びが若干弱いという側面があるのです。