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現在相場考察

凝ったグリッドデザイン、カルティエパシャCグレー文字盤W31023M7

2017年2月23日更新
カルティエのパシャCW31023M7について斉藤由貴生が執筆。本記事では2010年12月の安値(ヤフオク)と2017年2月の安値(楽天)を比較し現在相場を考察。この6年2ヶ月での変動は¥-9,680だった。

パシャC グレー文字盤 W31023M7についての考察(2017年2月)

1995年にデビューしたカルティエのカジュアルスポーツモデル、パシャC

90年代後半から始まる時計ブームの際はブルガリスポーツ同価格で販売されていました。

その頃、スポーツロレックスで最も安かったサブマリーナノンデイト(14060)とパシャCはほぼ同じ価格だったため、同じダイバーズである両モデル検討したという方も当時は多々いるでしょう。

今では、販売店での扱いも女性用となっていることが多いぐらい、いつしか“女性モノ”というキャラクターとなってしまったパシャC

確かに見た目は可愛らしいため、女性向けというイメージになるのも分かります。

しかし、パシャ自体はもともと男性用の腕時計であり、そのカジュアル版がパシャCなのです。

実際、パシャCは35mmというサイズであり、デカアツブームの前は完全に男性用のサイズ。ですから、かつて女性がパシャCを装着するということは男性が47mm程度の腕時計をしている感覚であり、90年代後半当時としてはあまりないファッションだったのです。

けれど、女性にも充分通用するデザインのため、90年代後半当時においてもパシャC「男女兼用」と表記されるのが常でした。ただ、その頃のパシャC着用比率は、筆者の主眼ですが女性より男性のほうが多かったように思います。

特に99年頃はパシャCが軽いブームになっており、男性の間でピンク文字盤が流行ったり、黒文字盤が希少とされました。

さて、パシャCには文字盤の種類がたくさんあるため、一概にピンク文字盤と言われてもなにを指すのか分からないと思いますので、ここでパシャCの変遷を一部説明します。

  • 1995年:デビュー
  • 紺文字盤のみ

  • 1996年から1999年:テコ入れ
  • グリッドデザインのピンク文字盤とグレー文字盤、白文字盤、黒文字盤

  • 2000年以降:ビッグデイト化
  • 白文字盤のみビッグデイト化。2002年初頭にビッグデイトの紺文字盤追加。2004年頃ビッグデイトのピンク文字盤追加。

    となり、その後ビッグデイトはスモールデイトに戻ります。

    ビッグデイトのピンク文字盤が出た頃から、パシャCは女性用という性格が強くなりミスパシャという完全女性向けシリーズの発売を経て、男性用パシャ自体は生産終了となりました。

    ピンク文字盤といってもビッグデイトのピンク文字盤は明るいピンクで明らかに女性を意識した配色、それに対してグリッドモデルのピンクはサーモンピンクな色合いで、フランクミュラーカサブランカのように男性でも問題なく装着できます。

    そして、パシャCにおいて重要なモデルこそ、ビッグデイトのピンク文字盤以前のモデルなのです。

    この時代のパシャCは前途のように女性用というイメージが強くなく、男性用としてロレックスとも比較対象になった存在

    また、そういった事情だけでなく、文字盤デザインも2004年以前のモデルが人気がある傾向です。

    中でもこのグリッドデザイン文字盤は、パシャCの中では生産年数短く、珍しいという印象があります。また、この凝った文字盤は他の文字盤と比べてコストがかかっていると思われるため、所有満足感も高そうです。

    グリッドといえば、パシャのアイコン的存在でありそれをモチーフとしたデザインにはグッときます。

    このグリッドデザインにはピンク文字盤とグレー文字盤があるのですが、どちらも発売された時期は同じです。

    実はこのモデル、発売された時期が2度あるという謎の存在で、最初は96年から98年頃まで売られたのですが、その後生産終了。そしてなぜか2002年にもう一度新品が数多く販売されたのです。

    その2002年の再発売の際は「希少」とされ、当時のパシャCにおける他のラインナップである黒文字盤と白文字盤と比較して若干高く販売されていました。

    その後このモデルの相場は、白文字盤や黒文字盤より逆に安くなるということもあったのですが、今ではどの文字盤でも相場が変わらない傾向です。

    このパシャCは、かつて中古でも20万円前後というのが当たり前だったのですが、リーマンショック後は16万円程度まで値下がり。

    そして、人気モデルであるがゆえに再度値上がりするのかと思いきや、今の相場は2010年より安いのです。

    カルティエ パシャ パシャC¥159,896〜¥468,000(2024年11月21日現在)

    本記事の価格比較

    腕時計 状態 期間 2010年12月
    の安値(ヤフオク)
    2017年2月
    の安値(楽天)
    変動額 残価率
    カルティエ
    パシャC
    グレー文字盤
    W31023M7
    中古 6年
    2ヶ月
    ¥149,000 ¥139,320 -9,680 93.50%

    パシャCは魅力的な時計ですが、値下がり傾向な理由として、パシャCの魅力を知る人が少なくなったことが原因なような気がします。

    というのも先程のように、パシャC女性用というイメージが強く、男性用なのか女性用なのかが分かりづらいという点。

    また、女性向けというイメージが強いため、男性自身がつけることをためらうという点もあるでしょう。

    そして最後に、ラインナップが多いため、どれを選んでよいのか分かりづらいという点があると思います。

    パシャCの基本かつ長寿モデルは、白文字盤(拡大鏡スモールデイト・ビッグデイト)と黒文字盤です。

    このグリッドデザインのパシャCは、オーソドックスな黒文字盤・白文字盤よりちょっと玄人向けなモデルと言うと分かりやすいと思います。

    そして、このグレー文字盤のグリッドデザインはピンクとくらべて男性でもつけやすい存在であるため、今の相場であればコレクションの1本として楽しむのに良いと思います。

    ということで、パシャCの魅力はグリッドデザイン文字盤のグレーとピンクに凝縮されていると思います。

    この記事の執筆者
    斉藤由貴生
    腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
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