モダンなデザインが魅力的なパテックフィリップのコンプリケーション、5055。
キャリバー240をベースに、パワーリザーブインジケーターとムーンフェイズを備えたこの配置は、今ではノーチラスの5712でおなじみという存在です。
しかし、当初このムーブメントが採用されたのは、90年代に登場した3兄弟。
それは、
- 5054
- 5055
- 5085/1
という3つのモデルです。
もっとも高級なのが5054で、裏蓋付きの裏スケ仕様というプラチナ仕様も存在。5054はクラシカルなイメージです。
5085/1は、ブレスレットタイプなのですが、当時のパテックフィリップとしてはかなり珍しいステンレス仕様のプチコンという存在。ステンレスのインパクトが強いですが、イエローゴールドモデルもあります。
そして、5054をモダンな印象にしたのがこの5055。5054とは異なりプラチナ仕様は無く、ホワイトゴールド、イエローゴールド、ピンクゴールドの3つが存在します。
中でもホワイトゴールドモデルには前期と後期が存在。
前期は黒文字盤だったのですが、2003年頃から白文字盤に変化。
そして2005年頃に生産終了となったため、なかなか流通量の少ないモデルです。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2012年秋頃の安値(タイムトンネル) | 2017年2月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
白文字盤 5055G |
中古 | 4 | ¥1,599,800 | ¥2,632,000 | 1,032,200 | 164.52% |
この5055の白文字盤、2003年頃の新品実勢価格は180万程度。
今とは違い、その頃パテックフィリップはまさしく「雲上時計」という印象で、180万円という価格はかなり高いように感じました。
しかし、2005年頃からパテックフィリップは「雲上時計」という印象を崩すこと無く、メジャーな高級腕時計として多くの人が“買う”存在へと変化。
それは全世界共通な模様で、インスタグラムを見ているとタイのお金持ちがノーチラスやアクアノートを好む様子が伺えます。
2005年前後にパテックフィリップは多くの時計をモデルチェンジ。
それまでのパテックフィリップは、地味に見えるほどのシンプルさや上品さを特徴としていましたが、2005年以降のパテックフィリップには派手めなモデルが多い印象です。
それゆえサイズも大きくなったのですが、“大きすぎる”という印象を持つ方も少なくないでしょう。
そんな2005年以降のパテックフィリップに対して、この5055は36mmというちょうどよいサイズ。
そして、今のパテックフィリップにはない、良い意味での地味さを感じさせると同時に、モダンなデザインという珍しさも備えています。
ですから、非常に魅力的なモデルだと思うのですが、なんと2012年と比べて100万円以上の値上がり。
ちょっと前でも同じく白文字盤のWGモデルは260万円台で売れてしまっていたため、この263万2000円という額はこのモデルの相場として適正でしょう。
5055は特に人気があるモデルという印象ではないため、ここまでの値上がりとなるとは考えられなかったのですが、最近は年次カレンダー(5035)よりも遥かに高い相場です。
永久カレンダーという強い特徴と人気度から考慮すると、5035のほうが高くなると思うのは自然な思考です。
しかし、思わぬ値動きをするというのが、腕時計の面白さ。
そして、5055がこのように評価されているというのは、とても嬉しく感じます。