90年代後半から始まった時計ブームの頃より「コンビは不人気」というのは定説でしたが、唯一例外とされたのが“青サブ”です。
青サブは、独特の色合いがもたらす派手なキャラクターが人気となり、当時も今も“青サブ”という愛称とともに人気の腕時計です。
当時の青サブといえば5桁時代ですから、16613。
そして現行と同じように16613には“青”と“黒”が存在。
今でもそうですが、圧倒的に数が多いのは“青”のほうであり“黒”のコンビサブは、希少性を感じるほど数が少ない存在。
特に16613の黒は“黒サブ”と呼ばれ、よく見かける“青サブ”に対して珍しいモデルとして隠れた人気を有する1本でした。
隠れた人気とはいえ、当時の新品実勢価格は青サブより2万円程度安いという感じ。
また、リーマンショック後の一時期は30万円を切る額で取引されたこともあるのが黒サブです。
リーマンショックは2008年9月のことですが、その2ヶ月後ぐらいより特にコンビのサブマリーナは安くなったのです。
当時すぐには影響を受けなかった時計も多々ある中、コンビのサブマリーナだけはなぜか早く影響を受け安値となりました。
そんな16613ですが、2010年に新作が出たことにより2011年頃からは若干相場が回復傾向。
2011年7月の相場も今と比べるとだいぶ安く感じますが、当時としては“値上がりした状態”だったのです。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2011年7月 の安値(ヤフオク) |
2017年4月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ロレックス
サブマリーナ “黒サブ” 16613 |
中古 | 5年 9ヶ月 |
¥359,100 | ¥704,800 | 345,700 | 196.27% |
2011年におけるサブマリーナの人気モデルといえば今と同じく“緑サブ”が圧倒的な人気。
前途のように、黒サブは隠れた人気のあるモデルですが、この時計を買う際に、リセールバリューを期待した人はいないでしょう。
しかし、この超人気モデルとは言い難い16613も、過去相場と比べて34万円以上の値上がりというかなりの高騰を果たしたのです。
ちなみにこの記事の個体はL番=1989年製造と、黒サブとしてはかなり古めなモデルですが、同じ年式のモノが2015年には約74万円で取引されているため、2年ほど前から今と同じ水準です。
なお、この記事の個体のように年式が古めのモデルはバックル部分がステンレスですが、2000年製造のP番頃よりバックル部分もコンビ仕様となりました。
いつの時代でもそのコンビバックルの後期型モデルのほうが10%程度高いと考えて良いでしょう。
90年代から2000年代にかけて現行モデルだった5桁リファレンスの場合、90年前後の初期モデルは不人気とされ、価値があまりないと判断する人もいました。
それに加えてこの個体は“青サブ”ではなく黒いコンビですから、なおさら価値が無さそうにも見えます。
しかし、過去の常識では「価値なし」という判断を受けたこの条件でも、過去相場と比べて34万円以上の値上がりをしているのです。
「価値」があるかないかは個人が決めることではないのです。