オーデマピゲという雲上ブランドによるジェラルドジェンタデザインの元祖であるロイヤルオーク。
その存在感や人気はかつてから高い水準ではあるのですが、ノーチラスと比べると相場はイマイチともいえる様子。
その理由は、誰も把握することができないほど多いモデル数によるものだと考えることができますが、中には“ハッキリと高い”と分かるモデルも存在。
ある時期までそれはオフショアのラバーベルトモデルのように、時計ブーム以降に出た新しめのモデルかつ分かりやすいという傾向がありました。
しかし、最近の人気モデルこそエクストラシンというシンプルな2針モデル。
そしてエクストラシンは15202STという型番を持つ通常の39mmとも混同しやすく、相変わらず分かりづらいモデルという事情があるにもかかわらず、現在240万円以上という水準です。
一見他のロイヤルオークとも似ているエクストラシンがなぜ高いのかというと、それはジェラルドジェンタがデザインした最初のロイヤルオーク、5402STに似ているからでしょう。
ロイヤルオークはジェンタデザインということは知られていましたが、最も多く見かけるモデル、14790STには初代モデルと印象が異なるという事情が存在。
ラージサイズである初代と、ミディアムサイズの14790では異なるのは当然なのですが、その印象が違うのは明らかです。
ノーチラスの場合、初代モデルである3700と長らく生産されたミディアムサイズの3800との違いは大きさを除くと2針か3針か、という程度。
しかしロイヤルオークの場合、バーインデックスの形状が明らかに異なるのです。
初代モデルが細長かったのに対し、14790はかなり短い印象。
さらに、05ら60まで5秒刻みで秒数が記載されているという変わりよう。
そのため、
- APロゴの位置
- 2針
- バーインデックスの形状
という初代モデルに近い要素を多々備えたエクストラシンが、ノーチラスに匹敵する相場となるのは非常に理解できます。
しかし、初代モデルに近い印象のロイヤルオークはエクストラシンだけではありません。
15000STといえば、先程の14790のように短めのバーインデックス文字盤という印象がありますが、実は初期型の文字盤は初代ロイヤルオークの面影を残すバーインデックス。60から05までの秒表記もありません。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2011年秋頃の安値(タイムトンネル) | 2017年4月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
オーデマピゲ
ロイヤルオーク 15000ST |
中古 | 5 | ¥398,000 | ¥799,200 | 401,200 | 200.80% |
この時計、2011年に30万円台で売られていたということがあるのですが、その相場は今見るとびっくりするほど安いと思う水準。
当然、そこから40万円以上値上がりしていますが、現在相場でもなんだか安いと感じてしまいます。
ロイヤルオークの文字盤は、腐食が発生する個体が多いのですが、この記事の個体も腐食が発生している状況。
そのため、腐食がないモデルより安めかもしれません。とはいえ、ケースは角がハッキリしたきれいな状態で、文字盤の腐食を考慮しても魅力的な個体に見えます。
ちなみに2011年の個体も角がハッキリとしたケースで、さらにそちらは腐食のない文字盤です。
ロイヤルオークの難しさは、傷がついたからといって研磨すると見た目の印象が変わってしまうという点。
そのため、他の時計よりもケースの研磨状況が重視される傾向です。
リファレンスの多さ、ケースの研磨など、相場を見極めるのが非常に難しいロイヤルオーク。
しかし、その人気傾向を単純化するならば、
- 初代モデル5402に似ている
- ケースの角がハッキリしている
ということになるでしょう。
そういう意味ではこの15000ST前期文字盤は人気要件を満たすということになり、もう少し高くても良いのではという気もします。
例えば、現在約350万円のノーチラス5711と約250万円のエクストラシンとの価格比率をベースに、ノーチラス3800とこの15000STを比べると、特に15000STの現在価格が安く感じます。