カサブランカはフランクミュラーのステンレスモデルとして最も安い価格に位置しますが、それでも定価は100万円以上という存在です。
デビューしたのは90年代後半のことですが、その頃デビューしたカルティエやブルガリの廉価モデルの場合、ラバー素材を積極的に採用し定価30万円以下のカジュアルモデルとしていましたが、フランクミュラーの場合はそれよりかなり高級です。
一方、三雲ブランドでもステンレスかつブレスレットを装備するモデルがありますが、それは“最も廉価”というポジションではなく、当時の位置づけとしては“変わり種”という印象で、カラトラバのイメージを踏襲したステンレスモデルのようなものは用意されていませんでした。
2002年頃にフランクミュラーが注目された際、トゥールビヨンやミニッツリピーターという複雑機構を自社で作れ、それが天才時計師によるものであるということから、三雲ブランドに近い印象として受け取った人もいるでしょう。
そして、三雲ブランドとは異なり、カサブランカというカジュアルなモデルも用意されていた、というのが多くの時計ファンにささったのです。
カサブランカは、ロレックスのヨットマスターロレジウムとかなり似ているキャラクターです。
ロレジウムはヨットマスターという高級シリーズ初のステンレスモデルとして用意された存在ですが、その高級なイメージを損なわないようにベゼルにプラチナを採用したモデル。
ロレックスの場合、ロレジウムより廉価なモデルが多々存在しますが、フランクミュラーの場合はロレジウムレベルのモデルが最廉価というのが、ブランドの高級感を損なわずに身近というバランスを形成していたのです。
2001年頃におけるカサブランカ2852ブレスレットモデルの新品実勢価格は60万円程度。それに対してロレジウムは80万円程度と完全に価格が一致するわけではありませんが、その頃における60万円クラスのロレックスというとステンレスモデルではロレジウムが最も近い価格となるのです。
しかし、今のカサブランカの相場は2001年当時においてもっとも安いロレックスであったエアキングと同等にまで下落しています。
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2009年1月 の安値(ヤフオク) |
2017年5月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
フランクミュラー
カサブランカ ピンク文字盤 サハラ ブレスレット 2852 |
中古 | 8年 4ヶ月 |
¥273,502 | ¥298,000 | 24,498 | 108.96% |
カサブランカの今の相場は、フランクミュラーが流行り始めた時期に同じく流行ったパネライよりもかなり安い水準です。
とはいえ、今の相場でブレスレットモデルが30万円を切るというのは、あまり見ることが無くこの個体は安めという判断もできます。
もともとの新品実勢価格が高いということやその高級というイメージもあり、長らく30万円以下で売られるのは革ベルトモデルという印象がありました。
しかし、2852のピンク文字盤に関しては、既に2009年の段階から30万円を切っていたのです。
かつて、ステンレススポーツロレックスよりもパネライよりも高かったカサブランカをエアキング並の価格で買うことができる、というのは本当の意味でカジュアルに楽しめるようになったことを意味しているでしょう。