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現在相場考察

程度の良いモノの相場が違う事例、スピードマスタートリプルカレンダー3523.80

2017年7月2日更新
オメガのスピードマスター3523.80について斉藤由貴生が執筆。本記事では2014年2月の安値(ヤフオク)と2017年7月の安値(楽天)を比較し現在相場を考察。この3年5ヶ月での変動は¥-30,200だった。

スピードマスター トリプルカレンダー 3523.80についての考察(2017年7月)

ロレックスブームだった2000年頃、ドンキホーテの各店舗には高級腕時計がずらりと並べられており、今より実物を見る体験が簡単だったように思います。

そして、そのショーケースを眺めていると、なんとなく“どの腕時計がいくらぐらいなのか”という相場観が身についてきて、オメガの通常モデルは10万円台、スピードマスターのムーンウォッチは20万台、スポーツロレックスは30万円台ということが分かります。

このスピードマスタートリプルカレンダーは、10万円台で買えるオメガの中で、最も複雑なモデルだったのにもかかわらず、これよりシンプルなデイトと1万円ほどしか実勢価格が変わりませんでした。

曜日と月を示す小窓と、日付を針で示す機構が「なんとも高そう」と思わせたにもかかわらず、プライスタグを確認すると、¥158000などという表記が存在。

デイトとトリプルカレンダーの価格差が1万円程度となると、その選択は好みの問題となるだけでなく、たまたま在庫があった方を選ぶというようにもなりそうです。

デイトにもトリプルカレンダーにも銀文字盤や青文字盤などがありますが、仮にデイトの在庫が銀文字盤、トリプルカレンダーが青文字盤だった場合、青文字盤を選んだらたまたまトリプルカレンダーだったということもあったでしょう。

トリプルカレンダーはとても魅力的な時計ですが、その複雑そうな見た目から壊れやすそうにも見えます。

しかし、さすがはオメガ。酷使してもあまり壊れたという噂はききません。

ベースムーブメントはバルジュー7750ですし、カレンダー機構もコンプリケーション的な仕掛けがあるわけではなく手動で動かす仕様ですから、確かに頑丈な印象です。

そして、毎日使える実用性の高さと、もとから安めだった実勢価格の影響により、現在では10万円を切る価格でも売られているこの3523.80

とはいえ、その価格帯で売られているものは程度の悪いモノがほとんどです。

では、程度の良いモノはいくらぐらいなのかというと、15万円前後といった水準です。

(現在参考の腕時計がありません)

本記事の価格比較

腕時計 状態 期間 2014年2月
の安値(ヤフオク)
2017年7月
の安値(楽天)
変動額 残価率
オメガ
スピードマスター
トリプルカレンダー
3523.80
中古 3年
5ヶ月
¥178,000 ¥147,800 -30,200 83.03%

この時計、デビューしたのは90年代で生産終了は2007年頃と、ロレックス5桁リファレンスと同じ世代

2007年頃まで新品で売られていたにもかかわらず、程度の良いものが少ない傾向ですが、これはこの時計が「使用頻度高めで愛用されていた」ということを示すことだと思います。

ブルガリアルミニウムも程度の悪いモノが多い傾向ですが、アルミニウムは構造的に痛みやすいという事情。

一方このスピードマスターは、ステンレスケースにブレスというオーソドックスな内容ですから、アルミニウムのように痛みやすい構造ではありません。

高級腕時計の場合、極端に程度が悪いものは少ないという傾向があります。

しかし、このスピードマスタートリプルカレンダーもアルミニウムのように、程度の悪い個体多めという傾向のモデルも存在するのです。

程度が悪くなる事情はスピードマスターアルミニウムでは異なりますが、両者とも各々の時計の状態を考慮せずに相場を見ると、一見安く感じるため、要注意なモデルです。

この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
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