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現在相場考察

程度が良い個体の事情、ブランパントリロジーフィフティーファゾムス

2017年8月3日更新
ブランパンのフィフティファゾムス2200-1130-71について斉藤由貴生が執筆。本記事では2011年2月の安値(ヤフオク)と2017年8月の安値(楽天)を比較し現在相場を考察。この6年6ヶ月での変動は¥44,280だった。

トリロジー フィフティファゾムス 2200-1130-71についての考察(2017年8月)

最近人気がある様子の90年代ブランパンですが、その相場感覚をつかむのは難しいという事情があります。

特に人気があるのは、97年に3兄弟として登場した「トリロジー」シリーズですが、

  • フィフティファゾムス
  • GMT
  • エアコマンド
  • いう3種類の中で、エアコマンド以外の相場をつかむのが難しいといえるでしょう。

    エアコマンドは比較的程度が良い個体が多く、かつての実勢価格も三雲スポーツモデルに相当したため、“かなり高級なモデル”としての扱いを受けている傾向。

    一方、フィフティファゾムスとGMTは、2000年代前半において当時のスポーツロレックスにプラスアルファという額で買えたため、エアコマンドほどの扱いを受けていなかった傾向があります。

    また、ブランパンの時計は作りが良いという定評がある一方、ロレックスと比べるとデリケートな点が目立つという事情も存在。

    そのため、売り出されている個体は“売るにあたって正規オーバーホールに出した”というモノが目立ちます。

    他のブランドの場合、売る前にあえて正規オーバーホールをするという事例は少なく、その傾向が目立つのはパテックフィリップの複雑モデルの一部という印象。また、4桁リファレンスのアンティークロレックスも、本物証明のためにオーバーホールするということがあります。

    しかし、それら特殊なモデルと比べると、このフィフティファゾムスはシンプルな3針の時計。ですから、一見ロレックスと同じような見た目でも、その感覚で使ってしまうと痛みやすいという事情があるのでしょう。

    そのため、同じ時期において相場には差があり、程度の良いモノと使用感のあるモノが同じ時期において20万円近い価格差で、さらに両方同じタイミングで売れていくという事情が存在。この場合、単に価格の差だけで判断すると超短期間で20万円もの値上がりとなったようにも見えますが、実際はそうではないのです。

    そして今回、程度が良いモノ同士の価格差を検証してみたところ、ロレックスが全体的に安かった2011年と差があまりないということがわかりました。

    本記事の価格比較

    腕時計 状態 期間 2011年2月
    の安値(ヤフオク)
    2017年8月
    の安値(楽天)
    変動額 残価率
    ブランパン
    トリロジー
    フィフティファゾムス
    2200-1130-71
    中古 6年
    6ヶ月
    ¥405,000 ¥449,280 44,280 110.93%

    程度の良いフィフティファゾムスにとって、現状の約45万円という価格は売れ筋価格だと感じます。

    最近同じような価格の程度の良いフィフティファゾムスが早く売れていく姿をよく見かけ、売れるまでの速さはより高級かつインパクトの強いエアコマンド以上という感じです。

    エアコマンドよりフィフティファゾムスのほうが数が少なく、常に「待っている」という人がいるのかもしれません。

    ですからこの時計、2011年と比べてあまり値上がりしていませんが、その内容と人気度ともにもっと高くても良いのではと感じる時計。しかし、現状相場でも、10万円以下のプラス金額でエアコマンドが買えるという事情が存在するため、お得感が弱いようにも思います。

    ただ、この時計の内容からするとやはり今の相場は安くも感じ、その数の少なさと現状すぐ売れていくという様子から、値上がりしてもおかしくないとも感じるのです。

    この記事の執筆者
    斉藤由貴生
    腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
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